「悲劇の中に笑いを見つけようとした」 鬼才リチャード・ケリーが最新作に込めた思い

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『サウスランド・テイルズ』 リチャード・ケリー監督
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  • 『サウスランド・テイルズ』 -(C) 2008 Universal Studios. All Rights Reserved.
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国内の石油が全て使い尽くされ、人々はその行動をインターネットと監視カメラによって支配される…。第三次世界大戦が勃発した後の、もうひとつのアメリカの“終末”の物語を描いた『サウスランド・テイルズ』。26歳という若さでその名を世界に知らしめた『ドニー・ダーコ』から7年——。本作を通して、謎に満ちた独特の世界観を再び我々に突きつけたリチャード・ケリー監督に、物語を解くカギを聞いた。

「映画の内容が、これほど忠実に現実で起こるなんて、自分でも怖いくらいだよ」。

現実の世界と“もうひとつのアメリカ”を比べ、驚きを隠せない様子の監督。本作では、エネルギー危機という、まさにいま我々が直面している問題を、あたかも予言するようなシーンが随所に描かれている。監督自身、この深刻な事態を予測していたのだろうか?
「エネルギー危機の状況は、いままでもずっと注目をされてきたことだと思うよ。ただ、こんなに急激に、酷い状況になるなんて思ってもいなかった。ガソリンがこんなに高騰するなんて想像していなかったし、みんなが代替燃料の話をするなんてことも想像していなかったよ」。

『ドニー・ダーコ』を発表したのが2001年。同年、アメリカは悲劇に見舞われると同時に、さらなる悲劇を招く決断に踏み切る。「9.11」とそれに続くイラク戦争である。この映画には、この悲劇を彷彿とさせるものが確かにある。
「9.11とイラク戦争は、この映画のイメージにものすごく影響を与えたんだ。僕はこの映画を、僕自身が感じていた9.11とイラク戦争への不安に対する答えとして作り、納得しようとしたんだと思う。そして、この絶対的に大きな悲劇の中に、コミカルな部分を見つけようとしたんだ」。

「終末論」は、これまでも幾度となく、多くの映画で題材とされてきた。だが、それを悲劇にとどまらせず、その中にコメディ要素を導き出すのが、ケリー監督ならではの手法。ジャスティン・ティンバーレイクを、イラク戦争で負傷した元アイドル俳優役に起用しているのはもとより、ジョン・ロヴィッツやエイミー・ポーラー然り、バラエティ出身のコメディアンやコメディエンヌを意外な役どころで起用しているところに、監督のこだわりが見える。
「僕は、TVで彼らの多くを見て育ったんだ。こういった暗い、終末論的なテーマが主題の映画では、出来るだけ多くのおもしろい人たちをキャスティングしたかったんだ」。

『ドニー・ダーコ』に続き、本作でもミュージカル的要素を持つダンスシーンが欠かせない魅力の一つとなっている。自称ポップミュージックのファンという監督は、映画と音楽の関係についてこう語る。
「音楽を使うことで、不思議な要素を映画に盛り込むことが出来て、ストーリーがよりエキサイティングになるんだ。僕自身、そうすることでアドレナリンが上がるんだけど、観客にとっても同じであってほしいな。作品のインスピレーションの源になったアーティストは、キラーズ、ピクシーズ、そして今回、音楽を担当してくれたモービー、それからジェーンズ・アディクションだね。具体的にアルバムを一つ挙げるなら、キラーズの『ホット・ファズ』からは多大なインスピレーションを受けたね」。

SFというジャンルを超え、その表現の可能性を確実に広げている監督。惜しくもここ日本では劇場公開の日を迎えられなかった本作だが、それだけに今回のDVD化はファンにとっては待ちきれないもの。
「劇場公開されなかったのはとても残念だけど、これからDVDになって鑑賞され続けることを願うよ。いつの日か、(カットシーンを含んだ)長いバージョンのディレクターズカットを作りたいね。そして、それがいつか劇場公開されるといいな」。

最後に、劇中で示される“世界最後の日”について「この日は何をして過ごす?」と質問すると、笑いを含む声で答えが返ってきた。
「祝いつつ、無事に生き延びて翌日の朝日を拝むことを願っているよ」。

『サウスランド・テイルズ』DVD
発売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
価格:3,990円(税込)
発売日:8月7日(木)

© 2008 Universal Studios. All Rights Reserved.

『サウスランド・テイルズ』プレミアム試写会レポート
http://blog.cinemacafe.net/preview/archives/008119.html
《text:cinemacafe.net》
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