香港の頼れる兄貴アンソニー・ウォン「監督の説明を僕がほかの連中に“翻訳”してた」

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『エグザイル/絆』 アンソニー・ウォン photo:Yoshio Kumagai
  • 『エグザイル/絆』 アンソニー・ウォン photo:Yoshio Kumagai
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舞台は返還間近のマカオ。かつては親友同士だったが、いまは裏社会で対立する立場にある男たちが、時代に翻弄されながらも、自らの生き方を貫こうとするさまを描いた『エグザイル/絆』が公開を迎える。香港映画の鬼才ジョニー・トーが描き出した“男の美学”の神髄とも言うべき本作で、主人公の男たちの一人、組織と友情の間で葛藤するブレイズを演じたのはアンソニー・ウォン。劇中同様、終始強面を保ちつつ、役柄や撮影の様子について語ってくれた。

——監督はあなたが演じたブレイズを「登場人物の中で一番のダメ男」と断言してますが、あなたの見解は?

まあ、監督の言う通りかな。組織の任務を果たすことも出来ず、仲間の中でリーダー格でありながらもどこか煮え切らない三枚目だよ。ここに出てくる男たちについて、世間では“男気あふれる”とか“最高にクール”なんて称しているけど、少し前に監督と食事をしたとき、監督は「この男たちはまるで主婦みたいだ」なんて言っていたよ。

——脚本が存在せず、役柄についてさえも監督から事前に説明されることがなかったと聞きましたが?

そう。監督は撮影する段階になって口頭で説明するんだけど、かといって細かい打ち合わせがあるわけでもなく「お前たち、あの斜面から駆け下りて来い」とか言うだけ。すると、なぜかほかの連中は僕のところに「どういうこと? 駆け下りたら、その後どうすればいいの?」って聞きに来る。それで、しょうがなく僕が監督の代わりに答えるんだ。「ほら、マールボロのCMみたいなイメージでやるんだよ」とかね。

——まるで、あなたが現場監督のようですね(笑)。

まあ付き合いも長いし、監督が何を欲しがっているのか分かっているからね。いや、実際のところ分かっていないことが多いんだけど、ほかの連中はもっと分かってない。まさに劇中のブレイズと仲間の関係そのものだよ。なぜかいつも仲間から「次はどうするの?」って聞かれるんだ。一番のダメ男のはずなのに…。

——では映画の冒頭で4人の男が、葉巻をくわえて友の帰りを待つシーンも、ひょっとしてあなたの指示によるものですか? 4人の構図といい、立ち姿といい見事に決まっていましたが…。

その通り。監督からはただ、「葉巻をふかして待て」と指示が出たんだ。例によってあいつらが不安そうな顔で近づいてきたので「モデル風に立てってことだ! GUCCIだよ、GUCCI」と。

——劇中で、金が貯まったら銃器店を開くという仲間に「よく飽きないな」と言うシーンがありますね。これまで、本作を含む様々な映画で相当な数の銃撃戦を演じられてきましたが、いい加減、銃にうんざりすることは?

いや、飽きはないよ。楽しいかと聞かれると…そう、楽しいかな。銃撃戦に限らず、アクションシーンの撮影は、本当に危険で、常に命を削っているような感覚になるんだ。銃を撃ちながら、自分はいま戦場にいるんじゃないか? と思うくらいリアルな恐怖を感じているよ。銃撃シーンではないけど、タイ(フランシス・ン)が運転する車で絶壁の斜面を駆け抜けるシーンで、目の前に大きな石があるのに、フランシスはバカだから猛スピードで突っ込んで行った。石に思い切りぶつかって、漏れたガソリンの匂いが立ち込めてきて、みんな慌てて逃げたけど、あいつ(※フランシス)はキーを差し込んだまま逃げ出したんだ。すぐに戻ってキーを抜いて、一大事にはならなかったけど、そんなことの連続だったよ。ガキみたいな連中が、あれこれと危ないことを実際にやらかした結果がこの映画なんだ。

——最後にトー監督に対して、これだけは言っておきたいことは?

(1分ほど考え込んだ末に)朝食からチャーシュー炒飯はやめてほしい、ということかな。

こともなげな様子で、にわかには信じがたい撮影中の秘話を次々と明かしてくれたアンソニー。香港のスターたちが“兄貴”と慕うのも納得のオーラを醸し出していた。美しさと物悲しさを湛えた男たちの魅力を堪能してほしい。



【VAGANCE】
絆にみる“男の美学”とは〜『エグザイル/絆』フランシス・ンに聞く
http://www.extravagance.jp/guardo/200811/21.html
《photo:Yoshio Kumagai》

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