映画界のサラブレッドが“よくある”物語に果敢に挑戦『ブロークン・イングリッシュ』

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『ブロークン・イングリッシュ』
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大都会に暮らしている。仕事ではそれなりに成功している。周りには既婚者が増えてきた。家族から結婚を心配される。男性と付き合ってもなかなか上手くいかない。年齢は30代に突入している。結婚したくないわけではないけれど(むしろしたいけれど)、人生を共にしたい男性にめぐり合えない…。これらほとんどに当てはまる女性、いや全てに当てはまる女性は世の中に驚くほど多く、だからこそ“結婚適齢期”の女性を題材にした映画やTVドラマがどの国でも頻繁に作られている。しかし、驚くべきは、そんな“よくある”テーマに映画界のスーパーサラブレッド、ゾエ・カサヴェテスが挑んだこと。ジョン・カサヴェテスを父に、ジーナ・ローランズを母に、そしてニック・カサヴェテスを兄に持つゾエが、“よくいる”女性の内面に寄り添ったことに嬉しい驚きを覚えた。

映画中盤、ゾエ監督は鬱屈のヒロイン、ノラにアムール(=愛)の国・フランスから来た男性との出会いを用意し、ともすれば夢いっぱいの少女漫画に陥りかねない“危険”を冒している。しかし、そんな“危険”の中でさえも、“よくある”テーマに寄り添う姿勢を崩さないことで成功。男女問わず多くの人は、思いがけない出会いを前にしたノラのふるまい、気持ちの揺れ、そしてラストで取った行動に「なるほど」とうなずけるはずだ。

ロマンチシズムを持たせながら等身大の気持ちを嫌味なく語れる新鋭監督の登場に、喜びこそすれ、驚くのは馬鹿げたことなのかもしれない。

《text:Hikaru Watanabe》
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