【シネマVOYAGE】パリ、ニューヨーク、ロンドン…ファッションの歴史を辿る旅

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シネマVOYAGE『ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ』
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行ってみたい街、訪れてみたい場所、自分の目で確かめたい風景──そんな願望を映画の中で叶えてくれるのが“旅”を感じる映画の良さ。その中でも、フィクションではない実在の人物の半生を辿るドキュメンタリーは、街、場所、風景はもちろん、約2時間でその人が歩んできた道をも追体験できる、凝縮された旅と言えます。『ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ』もその一つです。

ダイアナ・ヴリーランドとは、20世紀のファッションを語る上で避けて通ることのできない人物。直接その名前を知らなかったとしても──“ファッション誌「ヴォーグ」の編集長だった女性”という形容詞が付けば、どれだけカリスマ的存在だったのか想像できるのではないでしょうか。オードリー・ヘプバーン主演の映画『パリの恋人』やパリのモード界を舞台にした映画『ポリー・マグーお前は誰だ』で登場する雑誌編集長はダイアナがモデルでしたし、ローレン・バコールやシェール、バーブラ・ストライサンド、イーディー・セジウィック(挙げたらきりがない!)といった歴史に名前を刻むアイコンたちの輝きをいち早く捉え、彼らを表舞台へと誘ったのも彼女でした。時代を先取りする目を持った女性でもあったのです。そして、生前(1903〜1989年)、彼女が目にしたもの、体験したもの、経験したものを、自伝出版のために彼女が受けたインタビュー映像を基にまとめたのが、この映画です。

映画ファンにとっては、ダイアナ・ヴリーランドよりも映画『プラダを着た悪魔』の鬼編集長のモデルであり、ドキュメンタリー『ファッションが教えてくれること』でファッション誌の裏側を案内したアナ・ウィンターの名前の方が世界的編集者としてピンとくるかもしれませんが、ダイアナが凄いのは、さまざまな流行を仕掛けた人物であること。先に挙げたアイコンたちの発掘もそうですが、とにかく彼女の創造の意欲は年齢を重ねても衰えることはなく、「ヴォーグ」を解雇された後もニューヨークのメトロポリタン美術館で衣裳研究所の顧問になり、眠っていた歴史的衣裳を“魅せる展示”として美術館にも変革をもたらしました。本作のタイトルに“伝説の”とありますが、次々と生み出される創造力はたしかに伝説です。

そんなダイアナの半生を追うことは、そのままファッションの歴史を旅することにも繋がります。仏パリで生まれ、米ニューヨークへ移住。その後は、英サウサンプトン、米ワイオミング州、英ロンドン、アメリカ…というように、幼少期から世界を旅していた彼女。編集者として活躍中も「目は旅をするべき」という信念のもと、世界中を背景にした写真をカメラに収めさせ、誌面で紹介してきました。彼女が作り出す雑誌はまさに“旅”の1ページであり、当時の誌面や映像と共に描かれるこのドキュメンタリーには、ファッションを中心にした20世紀がギュッと詰まっています。そして、数々の写真と映像を観ているうちに、ダイアナ・ヴリーランドが生きた街を歩きたくなるはず! 「スタイルこそすべて」と言い切った彼女の意志を尊重するなら、とびきりのお洒落をして旅に出たくなるはずです。

《text:Rie Shintani》
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