ポスト宮崎駿と日本アニメの今後 ジブリ来夏公開新作の監督は誰?

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宮崎駿監督/『風立ちぬ』 -(C) 2013 二馬力・GNDHDDTK -(C) Getty Images
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  • 『風立ちぬ』 -(C) 2013 二馬力・GNDHDDTK
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  • 『風立ちぬ』 -(C) 2013 二馬力・GNDHDDTK
宮崎駿監督が自ら引退を表明した9月6日の会見におけるもう一つの新たなビッグニュース。それは2014年夏の公開をめどに進行中のスタジオジブリの新作映画の存在だ。宮崎監督が第一線を退いたのち、誰がどのようにジブリを、日本のアニメを引っ張るのか?

鈴木敏夫プロデューサーは会見で「今後ジブリはどうなっていくんだろうと、当然、疑問を持たれると思います」と自ら切り出し、「これはまだ企画そのほかは発表できないんですが、来年の夏を目指してもう一本映画を製作中であります」と発表した。

同じ会見で宮崎監督は、ジブリの若手監督の作品に原作や脚本という形で関わる可能性について「ありません」と明確に否定しており当然、この最新作は完全に宮崎監督の関与なく進められることとなる。

こういった経緯から、ここ1週間ほどで“ポスト宮崎駿”の候補者たちの名前が続々と報じられた。ジブリ内部からは宮崎監督の息子で既に『ゲド戦記』『コクリコ坂から』と2作品で監督経験を積んでいる宮崎吾朗、『借りぐらしのアリエッティ』で高い評価を受けた米林宏昌の名が挙がる。

一方、ジブリ外の人材として今回の『風立ちぬ』で主人公の声を務めるなど、ジブリとも縁の深い庵野秀明ほか、『おおかみこどもの雨と雪』のヒットの記憶も新しい細田守、劇場版『クレヨンしんちゃん』『カラフル』などで多くのファンを持つ原恵一などの名が報じられた。

ただ、鈴木プロデューサーが発表したジブリ新作に関して言えば、来夏公開の予定で進行中である点、宮崎監督が鈴木プロデューサーに引退の決意を伝えたのが6月半ばであり、ジブリのスタッフに正式に発表されたのが8月初旬だったと語っていることから、決して宮崎監督の引退を受けて急遽、降って湧いた企画ではなく、すでに以前より時間をかけて進められていた企画であると思われる。であるなら吾朗監督、米林監督もしくはそれ以外の人材であれ、ジブリ内部の人間が監督を務める可能性が高いのではないだろうか。

1997年に『もののけ姫』が公開され、当時の日本映画の興行記録を塗り替える興行収入193億円という大ヒットを記録し、4年後の2001年には『千と千尋の神隠し』がさらにそれを塗り替え、いまなお邦画歴代最高記録の304億円を記録。その後も『ハウルの動く城』(2004年/196億円)、『崖の上のポニョ』(2008年/155億円)と宮崎監督作品は、常に100億円を超えるメガヒットを飛ばし続けてきた。

だが、宮崎監督がメガホンを取らなかった作品に関して言えば、『ゲド戦記』(2006年/76.5億円)、『借りぐらしのアリエッティ』(2010年/92.5億)、『コクリコ坂から』(2011年/44.6億円)といずれも各公開年の邦画の興行収入ランキングで1位に輝く大ヒットではあるものの、やはり宮崎監督作品と比べるとヒットの度合いがやや小ぶりな感は否めない。

『風立ちぬ』が公開以来、8週連続で週末興行収入ランキング1位を獲得し、すでに100億円の大台に達していることを見ても、やはり、宮崎監督の作品がジブリ・ブランドの中でもいかに特別な輝きを持っているかというのが分かる。

ちなみに、『ゲド戦記』『借りぐらしのアリエッティ』『コクリコ坂から』の3作品に宮崎監督は原案・企画・脚本のいずれかで関わってきた。来夏公開予定の最新作に宮崎監督の関与がないとすれば、そのことが作品の質、観客の期待度にどのような影響を及ぼすのか? 

また、これら3作品全ての脚本に名を連ねる丹羽圭子が新作に関わっているのかも気になるところ。宮崎駿監督との脚本の共同執筆では、監督の口頭による様々なアイディアを丹羽さんが文章にまとめながら構築していくやり方で脚本を完成に導いたと言われているが、進行中の最新作でも彼女は脚本に携わっているのか? いないならば誰が担当しているのか? 脚本で外部の著名作家を招聘する可能性は? などなど注目点は尽きない。

宮崎監督は引退理由の中で作品を完成させるための歳月が年々、長くなっていることに触れたが(『風立ちぬ』に費やした時間は5年)、今後、ジブリ内で複数の若手監督が育ち、常駐する状況になれば、例えば年に1本というこれまで以上のハイペースで作品を発表していくことも可能となるかもしれない。いずれにせよ、進行中の宮崎駿が全く関与していないジブリ最新作の成否が、今後の行く末を大きく左右することは間違いない。

鈴木プロデューサーは会見で「今後のジブリの問題というのは、いまジブリにいる人たちの問題でもある。その人たちがどう考えるのか、それによって決まる」と語っており、宮崎監督も「やっと上の重しがなくなるんだから『こういうものをやらせろ!』という声が若いスタッフから鈴木さんに届くことを願っています。それがないと何やってもダメです。僕らは30歳のときにも40歳のときにも、“やっていいんだったら何でもやるぞ”という覚悟で色々な企画を抱えていましたけど、それを持っているかどうかにかかっていると思います。鈴木さんは、それを門前払いする人ではありません。今後のことは、色々な人間の意欲や希望や能力にかかっている」と若い世代の台頭を期待した。

一方でジブリ以外の作品、“クールジャパン”とも称される日本のアニメーションに関してコメントを求められると、仕事中はTVも映画も新聞も一切見ない生活を送っていると明かし、「ですから、“ジャパニメーション”というのがどこにあるのか分かりません。予断で話すわけにもいきませんから、それに対する発言権は僕にはないと思います」とも。

会見では、すでに漫画原作が存在する『風の谷のナウシカ』の続編制作の意欲を問われるも、宮崎監督は「ありません」と即座に否定した。“後継者”の一人に名が挙げられた庵野さん(※『風の谷のナウシカ』にアニメーターとして参加しており、昨年、東京都現代美術館における展示「館長庵野秀明 特撮博物館」で特撮短編映画『巨神兵東京に現わる』が上映)が以前より『ナウシカ』続編制作を熱望していることを念頭になされた質問だったが、いつの日か宮崎監督が続編製作にGOサインを出す日は来るのだろうか?

いずれにせよ、外部の人間で“ポスト宮崎駿”の候補に挙がった監督たちは既に自分の世界観を確立し、発信し続けているクリエイターばかり。少なくとも彼ら自身は宮崎監督の“後釜”を狙ってなどいないだろう。だが、日本のアニメを引っ張ってきた巨匠の引退は日本アニメーションの歴史の中に何らかの影響を及ぼすことは間違いない。ジブリ内部、そして外部から何が飛び出すのか? 楽しみに待ちたい。
《text:cinemacafe.net》

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