第64回ベルリン国際映画祭「コンペティション部門」にてオープニング上映作品に選出されたウェス・アンダーソン監督の最新作『グランド・ブダペスト・ホテル』。開幕初日の2月6日(現地時間)、ウェス・アンダーソン監督、主演のレイフ・ファインズほか、超豪華なキャスト陣が一挙に介し、本作のプレミア上映と記者会見が行われた。1932年、格式高いグランド・ブダペスト・ホテルには、“伝説のコンシェルジュ”と呼ばれるグスタヴ・H(レイフ・ファインズ)がいた。彼の信条は、究極の“おもてなし”。何と彼は宿泊するマダムたちの夜のお相手もこなしていたのだ。だが、長年懇意にしていた“マダムD”(ティルダ・スウィントン)が殺され、貴重なルネッサンス時代の絵画と莫大な遺産争いに巻き込まれてしまう――。本作は、ヨーロッパ随一の高級ホテルを仕切る“コンシェルジュ”のグスタヴ・Hと、彼がもっとも信頼を寄せるベルボーイのゼロ・ムスタファが繰り広げる冒険ミステリー。今回、初めてのウェス作品参加となったレイフは、『ハリー・ポッター』シリーズの“闇の魔法使い”とは打って変わって、以前のクールで知的なセクシーさが復活!?「脚本を読んだ後、どのキャラクターを演じたいか聞かれ、グスタヴ・Hの役をやりたいって率直に伝えたんだ。とてもユニークな役柄だったからだよ」と出演の経緯について語る。それに対し、アンダーソン監督は「この主人公には、レイフ以外の俳優は考えられなかった」と応じる。「レイフは演劇的な要素を演技の中に盛り込める俳優だし、詩人のように台詞を喋らなくてはならない箇所もたくさんあって、それでいて現実的でなくてはならなかった。そういう要素をすべて彼は満たしてくれていた」と語り、王立演劇学校出身でトニー賞受賞の経験もあるレイフに全幅の信頼を置いていたようだ。一方で、いまやウェス作品には欠かすことのできない名優ビル・マーレイは、「低賃金のギャラと長時間の撮影、ホテルのスタッフのチップ以上のものは何ももらえなかったよ(笑)」とジョークで観客を笑わせる。「しかし、そんな現場を楽しくさせてしまうのがウェスの魔術とも言えるところだね」と答えながらも、「長いロマンスの蜜月は完全に終わったね(笑)」とウェスに言われると、「要するに、(彼は)オレのこと使い勝手のいいやつって思っているんだよね」と、長年のコンビらしく絶妙な掛け合いで会場を沸かせていた。プレミア上映には、彼らを始めトニー・レヴォロリ、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラム、エドワード・ノートン、シアーシャ・ローナン、ティルダ・スウィントンといったキャスト陣も出席。ベルリンのオープニングを飾るにふさわしい、超豪華なお披露目となったようだ。『グランド・ブダペスト・ホテル』は6月、TOHOシネマズ シャンテ、シネマカリテほか全国にて公開。