【インタビュー】ディズニープロデューサーが語るヒットの理由…ファンタジー描く“現代性”

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映画『マレフィセント』プロデューサーを務めた、ドン・ハーン/(C)2014 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
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  • 『マレフィセント』 -(C) 2014 Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.
  • 映画『マレフィセント』プロデューサーを務めた、ドン・ハーン
  • アンジェリーナ・ジョリー主演『マレフィセント』ポスター/(C)2014 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
  • 『マレフィセント』 -(C) 2014 Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.
  • アンジェリーナ・ジョリー(マレフィセント役)/『マレフィセント』来日記者会見にて
  • アンジェリーナ・ジョリー&娘ヴィヴィアン・ジョリー・ピット/『マレフィセント』 -(C)2014 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
  • エル・ファニング(オーロラ姫役)/『マレフィセント』来日記者会見にて
アメリカでの大ヒットを経て、先週末、日本でもついに公開を迎えたディズニー映画『マレフィセント』(公開2日間での興行収入:6.91億円)。主演のアンジェリーナ・ジョリーとヒロインのエル・ファニングが先日、PRのために来日し日本を沸かせるなど注目を集める本作だが今回、プロデューサーのひとりであるドン・ハーンのインタビューに成功。アンジェリーナを起用した理由、そして『アナと雪の女王』から見られる大ヒットの要因の一つでもあるファンタジーの中で見せる“モダニティ(現代性)”についてたっぷりと語ってくれた。

本作『マレフィセント』は、呪いにより永遠の眠りに落ちたヒロインが王子様のキスによって目覚めるという『眠れる森の美女』のストーリーを、ヒロイン・オーロラ姫ではなく、彼女に呪いをかけた張本人である邪悪な妖精・マレフィセントの視点から描いた物語だ。


――『眠れる森の美女』と言えば、女性たちが憧れる“白馬の王子様が迎えにくる”という王道のプリンセス・ストーリーであると同時に、ディズニーのクラシカルな作品の中でも代表的なもの。ドン自身、『美女と野獣』などでもプロデューサーを務めてきた、いわばディズニーの歴史を作り上げてきたひとり。そんな彼にまず聞きたい、長年愛され続けてきた“名作”に手を加えることに恐れや抵抗はなかったのだろうか?

「そういった懸念は全く無かったよ。オリジナルである1959年のアニメーション版(『眠れる森の美女』)にしても、17世紀のシャルル・ペローが作った原作から始まっているからね。それに着想を得て、チャイコフスキーがバレエに変えて、そこからさらにウォルトディズニーがまた全く新しいストーリーとして描いたアニメーションになったという経緯があるんだ。

それを今回、また私たちがモダンなひねりを利かせて、『マレフィセント』という映画を作り上げた。その時代ごとに、その時代にあったバージョンが存在するというのは、『美女と野獣』も含めて当然だと思っているんだ。そういったクラシックの名作たち、おとぎ話というのは、それだけ創作・解釈の幅がある。だから、今回の『マレフィセント』もそういった意味では今の観客のために、また新しくアップデートされた要素を付け加えて仕上げたつもりだ。

今回の映画化にあたっては、一からマレフィセントのストーリーを想像する、という解釈の自由が僕たちに与えられたんだ。それと同時に、それこそがこの映画の一番の醍醐味にもなったんだ。『眠れる森の美女』という名作童話を基本にして、新しい側面から彼女を主人公にして描く、というのは非常に面白い企画なんじゃないかってね」。


――普遍的な夢の世界を描くファンタジーだが、その時代の観客がもつ価値観はドンが語る通り、少しづつ変容してきた。ここ最近では『アナと雪の女王』が、モダンな要素を取り入れ、“ラストは王子様がお姫様を救う”というお決まりであり、一種の“あるある”を逆手にとったストーリーで世界中で大ヒットを記録したことは記憶に新しいはずだ。『マレフィセント』でも新たな演出が加えられているのだろうか?

「50年代の世の中と今の世の中では、全く価値観を含め何もかもが違う。だから、50年当時の観客を意識して作られた物語を、全く同じように描いたのでは現代の観客には響かないと思っているんだ。2014年を生きる女性たちにとって、『理想の男性が白馬に乗って現れて、自分を救ってくれる』までただボーっと待っているというのは、全く共感できないような女性像だと思うし、そういった描き方に対して怒ってしまう女性もいると思うんだ。

とにかくおとぎ話に対してや、童話に対しての人々の考え方・解釈というものが今の世の中になって大きく変わってきてると感じているんだ。そういった意味では、なんらかの新しい要素を入れるなり、ひねりを利かせるなりして、新しい切り口で名作を伝えていくことは大事だと思う」。


――そうして現代性を取り入れた本作だが、アニメーションである『アナと雪の女王』と比べ難しいのは、実写であるが故のキャスティングだっただろう。日本でも海外でも最近ではよく「実写化」という作り方で映画が製作されるが、どの作品を見てもやはりキャスティングの部分が肝となってくる。イメージに合っているか、そうでないかで大きく作品の評価が変わってくる。そういった意味で本作のそれは、大成功を収めているのではないだろうか。

マレフィセントを演じたアンジェリーナ然り、オーロラ姫を演じたエル然り、彼女たちが初めてスクリーンに登場した瞬間…その佇まいに観客は納得し、物語に引き込まれていくはずだ。

「アンジェリーナ・ジョリーに関しては、はっきり言って他に候補がいなかったんだ(笑)。もう最初から彼女に決めていたよ。彼女以外にマレフィセントを演じられる人はいないと考えていたし、この企画が立ち上がった当初だから、かなり前から実際にアンジェリーナ本人に話を持ちかけていたんだ。幸いにして、子どもの頃から『眠れる森の美女』の映画も、マレフィセントというキャラクターも大好きだったらしく、彼女も凄く乗り気で主演はすんなり決まったんだ。

そうするとオーロラ姫は、アンジェリーナと並んだ時に引けを取らない存在感があり、そして演技力もないといけない。これが、なかなかいないんだ(笑)。自然と候補は絞れてくる。そんな時にエル・ファニングに思い当ったんだ。『マレフィセント』は中世のヨーロッパをモチーフにしているんだけど、そこに今時の子が出てくるとどうしても浮いてしまう。ただ、エルには時代を超えた美しさがあって、凄くクラシックな要素・容姿をもった女優という意味でもぴったりだったよ」。


――妖艶さを兼ね備えた大スターの主演女優と、ブロンドの髪をなびかせる天真爛漫な若手女優。この共演にはドン自身も驚いたという、意外な化学反応があったそう。

「“真の映画スター”と呼べる人は世界でも数少ないけど、アンジェリーナはキャリアも長く、紛れもなく成功を収めているベテランの映画スターだ。一方のエルは“これから”の女優。キャリアを始めたばかりだ。でも、その『今からだ!』という特別な勢いみたいなものがあって、そんな2つの大きなエネルギーがぶつかった瞬間がちゃんとスクリーンに出ていると思うよ」。


――ドンが絶賛を贈るアンジェリーナだが、本作でその才能は女優としてだけでなくプロデューサーとしても発揮されている。企画立ち上げ当初から関わっていたアンジェリーナは、本作の製作総指揮も務めているのだ。来日した際にアンジー自らが、女優業の割合を減らし、映画監督業や慈善事業に注力すると語っており、徐々に裏方の仕事へとシフトしているが、彼女の手腕は、長きにわたりプロデューサー業を務めてきたドンから見てどんなものだったのだろう?

「今回でいうと、特にマレフィセントのビジュアルの部分に関しては、彼女のアイディアが大きく取り入れられているんだ。ファッショニスタとしても知られているアンジェリーナだからこその、素晴らしい感性を魅せてくれたよ。

劇中で6回~7回くらい衣装変えしてるんだけど、すべてその時々の、その場面で、そのキャラクターが何を感じているのか、どういう立場に立たされているのか、ということをビジュアルで表現したかったんだ。

マレフィセントは、基本的には“悪者”。悪女でありながらも、オートクチュールの衣装を着てキャットウォークを歩くモデルみたいに、エレガントで美しい雰囲気を出すのはなかなか難しいかったんだけど、彼女がいたからこその納得の仕上がりになったんだ。

彼女は最近、監督業にも進出していて、もともと非常に優れたストーリーテラーだから、いろんな角度から物語を伝えるということに関して優れた感性をもっているんだ。そういう意味で、プロデューサーとしても、コラボレーターとしても最高の相手だったよ」。

最後に今一度、『アナと雪の女王』以降の連続大ヒットの要因について聞いてみた。

「観客というのは常に家族向けの、家族みんなで観られる良質なエンタテインメント作品を求めていると思うんだ。素晴らしいストーリーと魅力的なキャラクターという二本柱があって、『アナと雪の女王』にしろ、今回の作品にしろ、そういった部分で観客層に受け入れられたという要因が一つ。

そして特に今回の場合は、凄くファンタスティックな世界観というものがあると思うんだ。現実を忘れて、ファンタスティックな別世界に連れて去ってくれるような体験というのを観客も期待している。辛いことや大変なことは今も昔もいっぱいあって、そういうのをひと時忘れて、ファンタジーという別世界の中で思いっきり楽しめる。そういうところが受け入れられてるんじゃないかな。これは時代と共に価値観が変わっても、唯一変わらないものだと思うね(笑)」。

変わるものと変わらないもの…時代を越えながら、人々に愛されながら、こうして名作は進化を遂げていく。
《text:cinemacafe.net》

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