誰もがみんな子どもだった…家族を思い童心に返る映画『天才スピヴェット』ほか

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『天才スピヴェット』 (C) EPITHETE FILMS - TAPIOCA FILMS - FILMARTO - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA
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  • 『6才のボクが、大人になるまで。』 (c)2014 boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved.
  • 『ショート・ターム』-(C) 2013 Short Term Holdings, LLC. All rights reserved.
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あまりに当たり前すぎると、その存在の大切さに気づけなくなってしまうものがある。例えば、家族。少しずつ寒さが深まり、ますます人肌恋しくなるこの季節、当たり前のようにそばにいてくれる家族の顔がふと思い浮かび、誰もがかつて過ごした子ども時代を思い起こさせてくれる映画が、いま続々と公開中だ。

まずは、『アメリ』で知られるフランスの鬼才ジャン=ポール・ジュネ監督が「まさに僕そのもの」と言うほど自分自身を重ね合わせて描いたという『天才スピヴェット』

モンタナ州の農場に暮らす10才の天才少年スピヴェットは、ある日、突然の事故で双子の弟を亡くしてしまう。遅れてきたカウボーイのような父は、活発な弟のほうが好きだった。そして、昆虫学者の母親は研究に没頭し、姉はアイドルになることを夢見ている。

そんな中、スピヴェットが応募したある発明が米国スミソニアン学術協会の権威ある科学賞を受賞。彼は、ワシントンDCで開かれる授賞式に出席するべく、家出を決意。アメリカ大陸を横断する貨物列車に、たった1人で飛び乗る…。

ジュネ監督独特の愛らしいブラックユーモアとポップアップ絵本のような遊び心たっぷりの3D映像で描かれているのは、愛する者を失い、家族の心にポッカリと空いた穴を、1人の少年の壮大な家出を通じて埋めていく物語。スピヴェットは天才的科学者とはいっても、まだ10才。自分で考え、決めたことには脇目もふらず突き進むものの、心には孤独を抱え、自分の居場所を探し求めているのだ。

見知らぬ大人たちの“作り笑い”に囲まれながら、一刻も早く「家に帰りたい」「家族に会いたい」と願う彼の姿には、かつて子ども時代に“プチ家出”を経験したことがある人も(?)、共感すること間違いなし。

だが、虐待や家族関係など何らかの理由で心に傷をもち(ときには体にも)、自宅で過ごすことのできない子どもたちもいる。『ショート・ターム』は、そんなティーン・エイジャーたちを短期間保護する施設を舞台にした物語。

監督を務めた日系3世の新鋭デスティン・クレットンは、自身も約2年間、同様の施設で働いていた経験があるだけに、終始、ある距離感を保った優しさに満ちた視点で描かれ、半ドキュメンタリーのようなつくりとなっている。

短期ケア施設「ショート・ターム」で働くグレイス(ブリー・ラーソン)は、様々な問題を抱える子どもたちと対峙する日々。同僚で、心優しいボーイフレンドのメイソン(ジョン・ギャラガー・Jr)とも順調だが、グレイスには彼にも打ち明けられない深い闇があった。そんなある日、グレイスに妊娠が発覚。そして、引き取り手のない生意気な女の子ジェイデンが「ショート・ターム」にやってくる…。

自らもショート・タームで暮らす少年少女たちと同じ経験を抱える主人公・グレイスを演じたのは、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの初監督作『ドン・ジョン』でジョセフの妹役を好演していたブリー・ラーソン。本作での演技でロカルノ国際映画祭「最優秀女優賞」を受賞するなど、ハリウッドのみならず世界中から注目を集めている。

傷ついた子どもたちに、セラピストでも、教師でもなく、そばにいてケアを行うだけのグレイスたち。どこまでも中庸に、ただそっと彼らの傍らに寄り添っていく姿は、血のつながり以上の無償の愛を教えてくれる。

そして、家族の映画といえば、イーサン・ホークを始め4人の俳優が12年間、ひとつの家族を演じ続けたリチャード・リンクレーター監督の『6才のボクが、大人になるまで。』も外せない。

母(パトリシア・アークエット)と姉(ローレライ・リンクレーター)と暮らす、6才の少年・メイソン(エラー・コルトレーン)。もっとも多感な時期に、引っ越しや、別々に暮らす父(イーサン・ホーク)との再会、母の再婚、義父の暴力、父の再婚、そして初恋や初めてのキスなどを経験していくメイソン。12年の時が過ぎる中で、そのつど家族の姿は変容し、最初はあどけない少年だったメイソンも、その中で成長し将来の夢を見つけ、やがて母の元から巣立っていく…。

メイソンを演じたのは、12年前にリンクレイター監督がオーディションで見出したエラー・コルトレーン。彼を始め、母親役のパトリシア・アークエット、離別した父親役のイーサン・ホーク、姉役のローレライ・リンクレーターも、1年に数回、夏休みなどを利用して集まり、12年間撮影を繰り返して、この画期的な映画を完成させた。

子どもたちの成長のみならず、シングルマザーとして子育てをしながら大学へ通い直し、自分の夢を追い続けた母親のパトリシアも、時々現れて子どもたちと“ガチ”に遊ぶ父親のイーサンも、それ相応に年を重ね、時に人生に迷う姿も見せており、まさにひとつの家族の変遷が描かれていく。

親である人はもちろんのこと、思わず自分自身の子ども時代を顧みたくなる本作は、あの頃、分からないことだらけの子どもながらに、精いっぱい“いま”を生きていたことを思い出させてくれる。

いずれも、ラストには温かい涙と笑顔が自然にあふれてくる3作。家族の愛に触れ、ふと“童心の自分”に返らせてくれる映画から、“いま”の自分を見つめ直してみては。
《text:cinemacafe.net》

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