【シネマ羅針盤】自分を“デジタル化”し、表舞台から姿を消した女優の運命は?

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『コングレス未来学会議』-(C)2013 Bridgit Folman Film Gang, Pandora Film, Entre Chien et Loup, Paul Thiltges Distributions, Opus Film, ARP
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女優のロビン・ライトが自身の肉体、表情、感情をデジタルデータ化し、それらをもとに生まれた本人そっくりのCGキャラクターを映画出演させるという奇妙な契約にサインした。今後、女優としての肖像権はスタジオに譲渡され、本人が表舞台に立つことは一切禁じられる。

もちろん、これは架空のお話。彼女が本人役で主演を務めたSFヒューマンドラマ『コングレス未来学会議』の設定だ。デジタル技術の過信や続編の乱発、いまも根強いとされる女性差別といった現代ハリウッドの課題にユニークな切り口で迫った本作は、無味無臭の近未来をドライな手触りで捉えた実写パートと、躍動感あふれる幻惑的な極彩色アニメーションという異なる二つの要素で構成された、実験的なアートフィルムとしての魅力も放つ。

自分自身を“デジタル化”し、理想のアイデンティティを手にしたと錯覚する現象は、SNSが隆盛を極める現代社会に蔓延している。自分語りで一世を風びしたツイッターに始まり、ときに不毛なつながりをゴリ押しするフェイスブック、より過剰な自己演出を後押しするインスタグラム…。「なりたい自分」に固執する現代人を飲み込む無限の誘惑に、違和感を抱くのは時代遅れだろうか?(劇中のロビン・ライトは、自らの過ちに気づき葛藤する)。

公開に先立ち、3月に来日したアリ・フォルマン監督(『戦場でワルツを』)が取材に応じ、こう語っている。「テクノロジーの進歩は止められないから、我々はその長所を見極めるしか付き合い方がない。きっと若い世代にとって、現実かバーチャルかという区別は、もはや本質ではないかもしれない。ただ、SNS漬けになり、気に入ったアイコンで自分を飾りたてると、最後は本来持っていたはずの個性や可能性を見失ってしまう。それが心配だよ」

そんな現代社会への警鐘が込められた『コングレス未来学会議』。自分をデータとして売り渡した女優の運命は皮肉だが、ラストには単なるディストピアものとは一線を画する、穏やかな解放感があふれている。「本人を演じる」というパラドックスに果敢に挑んだロビン・ライトは必見だ。

『コングレス未来学会議』は6月20日(土)から公開。
《text:Ryo Uchida》

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