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【インタビュー】吹越満&安藤輪子 友パパ好きって、あり?なし?

「あんた壊れてるよ、変態!」。罵りも何のその、友達のパパ・恭介を好きになってしまったメガネ女子・マヤは、恋愛成就のために一直線。その一途過ぎる暴走寸前の純愛は様々な関係性を崩壊し、広がった波紋はついに大事件へと発展する。

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吹越満、安藤輪子『友だちのパパが好き』/photo:Hayato Ishii
吹越満、安藤輪子『友だちのパパが好き』/photo:Hayato Ishii
  • 吹越満、安藤輪子『友だちのパパが好き』/photo:Hayato Ishii
  • 安藤輪子『友だちのパパが好き』/photo:Hayato Ishii
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「あんた壊れてるよ、変態!」。罵りも何のその、友達のパパ・恭介を好きになってしまったメガネ女子・マヤは、恋愛成就のために一直線。その一途過ぎる暴走寸前の純愛は様々な関係性を崩壊し、広がった波紋はついに大事件へと発展する。

「ソフトバンク白戸家」などの個性的なCMを生み出し、劇作家として第59回岸田國士戯曲賞を受賞した山内ケンジ監督の長編映画第2弾『友だちのパパが好き』。娘の友人から猛烈アタックを受ける中年男・恭介を吹越満、なりふり構わず自分の愛を伝える猪突猛進型女子・マヤを新人女優の安藤輪子が務める。果たして友達のパパを好きになる事などあるのだろうか? 唯一無二の山内ワールドの魅力から、ワンシーン・ワンカットで行われた白昼の衝撃的キスシーンの裏側を聞いた。

吹越と山内監督のタッグは、山内監督が主宰する演劇ユニット“城山羊の会”による「微笑の壁」以来約5年ぶり。演じる恭介は、愛人を妊娠させながらも、娘の友人・マヤのアプローチにもなびいてしまうダラしない中年男という役どころ。山内監督の、キャストを念頭に脚本を書き下ろす当て書きスタイルに頭をかきつつも「山内さんは、役者が余計な事を考えずに書かれていることをそのままやれば面白いという脚本を書く方。キャラクターにピタッとはまるセリフがあるので、こちら側から質問する必要がまったくない。俳優としては大助かり」と類まれなる作劇術に全幅の信頼を置く。

一方の安藤は「脚本を読んだ時に、挑戦的で自分にはない役柄だと感じた」という、尋常ならざる純愛パワーで周囲を翻弄するマヤをオーディションで見事手にした。しかし相手役は、あの名バイプレイヤー・吹越だ。「オーディションの結果を聞いたときは“やったぞ!”という嬉しい気持ちと“やばい!”という両極端な気持ち。吹越さんはテレビで何度も拝見していましたが、ご一緒できると決まった時は、なぜかネットで画像検索していました」と照れ笑いで「怖い方かな? と思ったけれど、実際はとても優しくて気さくな方。カッコよかったです」と役柄同様にぞっこんだ。

吹越はじめ、妻役の石橋ケイ、娘役の岸井ゆきの、愛人役の平岩紙らキャスト陣は、城山羊の会の経験者。“新参者”の安藤は「お芝居の経験も少ないし、自分の中で確信が持てなくて、OKをもらっても不安は消えませんでした。山内監督は何を考えているのかわからない時もある不思議な方。あまりに何も言われないので、嫌われているのでは? と思ったこともありました。けれど石橋さんから“それでいいという意味だ”と言われて、その言葉を励みに頑張りました」と緊張の撮影を振り返る。ゆえに「褒められたら、ハイテンションになった」と嬉しそう。

映画のルックは、ほぼワンシークエンス・ワンカット。その中で現代口語演劇の流れを汲んだリアルな言葉を使ったセリフが飛び交う。言葉の受け取り方の違いから会話が広がり、そこから問題が噴出したり、脈絡のないように思えるセリフがキャラクターの心情やシチュエーションを表していたり。それら会話のやり取りには一切の無駄な間がなく、即興で演じられているかのよう。ところが実際はその逆。撮影に入る前には、演劇の稽古のような入念なリハーサルが行われている。

2人が初めて一線を越えてしまう道中での白昼のキスシーンは、通行人としてエキストラが数名いるものの、車道を走る車はすべてホンモノ。長回しゆえに吹越は「なかなかカットがかからないから、エキストラが全員通り過ぎてしまって、一般の方が通りかかるという状況。小学生にも目撃されました」と驚きの撮影を振り返るが、安藤は「私はキスに夢中で、周りはほとんど見えませんでした」と女優魂を炸裂させた。

2人のキスは、車道を挟んだ車越しに展開する。車の陰になって姿が見えなくなったかと思いきや、偶然にも車が動き出し、2人が抱擁し激しいキスをしている姿が車窓越しに見える。吹越は「そもそも映画全体の何か所かに、計算でやっていたら何10テイクも重ねなければいけないような奇跡的な瞬間がちりばめられている。そういうのを見せられると、“山内さんは持っているなぁ”と思わざるをえない」と演出意図を超えたショットにうなるばかりだ。

吹越は50歳、安藤は23歳。親子でもおかしくない歳の差。そもそも友達のパパを好きになる事などあり得るのだろうか? しかし安藤は「どちらかといえば、年上の男性の方が好き。マヤのように手を出そうとは思いませんけど、周りにもカッコいいと思うお父さんはたくさんいる」と“友パパ”好き賛成派。それでは愛されるパパ側はどうか。中学3年生の娘を持つ吹越は「いやいや、まったくモテません。用事があって学校に行くと娘の友達が集まって“キャーキャー”言うけれど、それは“本物だ、本物だ”という物珍しさからくるもの。体育祭でも騒がれましたが、それは“あまちゃん”のTシャツを着て行ったから」と苦笑い。たとえアタックされても「踏み留まります。娘の事もあるわけですから、そこはきちんとお話をしてダメですよと。それでもどうしてもと言うのであれば、他のお父さんを紹介します」と演じた恭介とは真逆の反応だ。

実は山内監督の次回作となる長編映画第3弾はすでに撮了。吹越と安藤は、また山内監督からのオファーがあれば「ぜひ出演したい。自分の名前が山内監督の脳内に浮かぶことが光栄」と声を合わせる。さらに吹越は「50歳というと、カウントダウンが始まる歳だけれど、自分としてはまだやっていない事もあるし、誰にも見せていない部分もある。意外とみんなわかっていなくて、それを山内さんに見つけてほしい」と意味深アピール。それに続いて安藤が「実は私もまだまだ見せていないところがあるんです!」とニヤリとすれば、吹越は「こう言っておけば、山内さんも気になって連絡してくれるはず。この仕事を31年くらいやっていますけど、まだまだ見せていないところがあるよ!」と奇才にラブコールを送っている。
《text/photo:Hayato Ishii》

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