【インタビュー】松山ケンイチ&北川景子、“役者の・ようなもの”から脱した瞬間 運命的出会いと言葉

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『の・ようなもの のようなもの』松山ケンイチ、北川景子/photo:Hayato Ishii
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  • 『の・ようなもの のようなもの』 -(C) 2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会
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故・森田芳光監督による伝説的劇場映画デビュー作『の・ようなもの』の35年後を描く『の・ようなもの のようなもの』。2011年に亡くなった森田監督へのトリビュートとして、森田監督ゆかりのスタッフ・キャストが集結し、新たな物語として“もう一つの森田作品”を作り上げた。35年ぶりとなる続編で、7年ぶりの共演を果たしたのが、松山ケンイチとヒロイン役の北川景子。共演は森田監督の『サウスバウンド』(2007)以来となる。

亡き監督を偲び、ゆかりの人々が自然発生的に集い、続編映画を製作していく。ほとんど前例のない、奇跡的なプロジェクト。トリビュートであり、追悼であり、天国へ向けたラブレターともいえる。松山は「この企画を聞いた時は嬉しかった。森田さんが亡くなった事で、もう集まれないと思っていましたから。キャスト・スタッフ含めて全員が森田組経験者。また皆で映画を作れる喜びがあって、かなり感動しましたね」と振り返る。

しかも演じた出船亭志ん田は、森田監督の遺作『僕達急行 A列車で行こう』で松山が主演したキャラクター・小町の要素がふんだんに盛り込まれている。「出船亭志ん田は落語家ですが、電車好きという設定で、服装も小町そのもの。ベースとして『僕達急行~』をあえて狙っているようなところがある」と説明するように、物語の各所に森田節が忍び込む。

北川が演じたのはずばり、夕美。映画出演デビュー作となった森田監督の『間宮兄弟』で演じた役どころと同じ名前で、天真爛漫な性格もそのまま継承されている。北川も「劇中で着た浴衣は、10年前に『間宮兄弟』で着用したものとまったく同じ。衣裳合わせの時にあれ?と驚いた」と振り返る。ヒロインという大役でもあり「森田さんにお世話になった女優さんは沢山いるのに、自分でいいのだろうか?という葛藤はありました。けれどこうして森田さんの作品が続いていくのは嬉しいこと。だからこそ一生懸命やろうと思った」と並々ならぬ心境で挑んだ。

松山と北川の共演は約7年ぶりだが、ブランクはまったく感じなかったという。それぞれが3つの森田作品に出演しており、根底には森田イズムを間近で受け取ったという共通項もある。北川が「久しぶり感もなくて、昔から知っている友達に会った感じ。こちらに気を遣わせない方で、撮影の合間もずっと一緒にお話ししていた気がする」といえば、松山も「夕美が、そのまま景子ちゃんの中の一部にあるのではないかと思った」と笑う。

さらに森田組常連スタッフが作り出す空気も助けた。北川は「森田監督の現場は、和やかで温かくて笑いの絶えない場所でした。森田さん自身が和を重んじる方で、ファミリー意識が強かった。今回も現場に入ってみると、いつものスタッフがいていつもの温かい雰囲気があって、あっと言う間に楽しく終わった」と変わらぬ居心地の良さに嬉しそうだ。

森田監督は生前、松山と北川のラブストーリーを構想していたという。それは叶わなかったが、本作では2人の“恋愛の・ようなもの”も描かれる。松山は「確かに、ラブストーリーのようなものになりましたね。『僕たち急行~』でも“ちょっと好きです”というセリフが出てくるけれど、それに近いものがある」。北川も「どの程度の恋愛感情なのかはわからないけれど、好きなのはわかる感じ。森田監督もそういうのをやりたいと仰っていたので、きっと喜んでいるはず」と森田テイスト継承に胸を張る。

“恋愛の・ようなもの”が含まれると同時に、今回の作品は自問自答の物語としても読み解くことが出来る。自分は一体何者なのか、そして何をしたいのか、本当にやるべき事とは…。松山と北川は数ある職業の中から、役者業を選んで今現在もその道を進んでいる。では2人にとって“役者の・ようなもの”から脱したのはいつ頃の事なのだろうか。

松山は、映画プロデューサー・角川春樹氏との出会いを挙げる。「オーディションで『男たちの大和/YAMATO』に出させてもらい、その次に『蒼き狼 ~地果て海尽きるまで~』があって、そして『椿三十郎』。そこで森田監督と出会うことが出来た」と運命的なルーツを明かす。

一方の北川は、映画デビュー作となった『間宮兄弟』のクランクアップ時に森田監督からかけられた“ある言葉”を口にする。「それまで私はモデルで、『間宮~』の撮影が終わると同時に“もう森田さんに会えないんだ”と泣いていたら、“女優をやめないで続けていれば、また会える”と仰っていただけた。その言葉を胸に、女優を続けてまた呼んでもらおうと思った」と打ち明ける。10年前にかけられたその言葉を今も胸に「これからは皆さんのイメージにないような役もやっていきたい」と女優としての自己刷新に意欲を覗かせた。

松山、北川のほか、伊藤克信、尾藤イサオ、でんでん、野村宏伸、三田佳子らメインキャストを始め、ワンシーン出演でありながらも鈴木京香、ピエール瀧、佐々木蔵之介、仲村トオルら森田監督を慕う俳優陣が顔を揃えた。森田監督が遺したものは、現在進行形で今も脈々と息づいている。
《photo/text:Hayato Ishii》

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