【シネマ羅針盤】なぜ監督賞候補ならず? 納得できないほど『オデッセイ』は傑作すぎる

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『オデッセイ』 ー(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved
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  • マット・デイモン/『オデッセイ』 ー(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved
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2年連続で俳優部門の候補者20名がすべて白人だとして、再び批判を浴びている第88回アカデミー賞だが、それと同じくらい驚いたのが“受賞確実”の声も高かったリドリー・スコットが監督賞候補からもれた件。それほど、最新作『オデッセイ』はすばらしい作品だ。

その偉大な功績を考えると、いままで監督としてオスカー像を手にしていないこと自体、大きなナゾだ。『エイリアン』『ブレード・ランナー』というSF映画の2大金字塔をはじめ、アカデミー賞作品賞を受賞した『グラディエーター』、21世紀に入ると『ブラックホーク・ダウン』『アメリカン・ギャングスター』『ロビン・フッド』『悪の法則』と多種多様なジャンルに挑み、もてる力量を存分に発揮し続けるレジェンドであることに異論はないだろう。

最新作『オデッセイ』も例外ではなく、スコット監督にしか表現できない極限の映像美と、力強いストーリーテリングが奇跡的な融合を果たした傑作だ。すでにゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門(このカテゴライズは微妙だけど…)作品賞と主演男優賞を受賞し、ナショナル・ボード・オブ・レビューでは監督賞に輝いている。興行的な成功も収めており、全世界興収は6億ドルに迫る勢い。これはスコット作品史上最高の数字だ。

こうした世界的ブームが示す通り、『オデッセイ』は強烈な個性で敷居の高さも感じさせた過去の作品に比べ、より間口を広げた「誰もが楽しめ、心動かされる」普遍的なヒューマンドラマに仕上がっている。火星からの生還を目指す宇宙飛行士の孤独なサバイバルと、それを地球から見守る70億人の壮大な物語。見れば日常のささいな悩みなど確実に消えてしまう本作は、「悪役がひとりも登場しない」というスコット作品らしからぬ点も魅力である。

しかも、今年のアカデミー賞では作品賞、主演男優賞など7部門にノミネートされているだけに、監督賞候補からもれたのは納得がいかない。次回作が『プロメテウス』の続編として準備が進む17年公開予定の『エイリアン:コヴナント』(原題)となると、しばらくオスカー受賞は難しそうだし…。現在78歳という年齢を考えると、「今後何本の映画を監督できるのか?」と心配にもなってしまう。本人にとっては余計なお世話かもしれないが。

『オデッセイ』は2月5日(金)よりTOHOシネマズ スカラ座ほか全国にて公開。
《text:Ryo Uchida》

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