【インタビュー】二階堂ふみ×真木よう子  “いい女”が憧れる文士の狂気、理想の女性像

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二階堂ふみ、真木よう子『蜜のあわれ』/photo:Naoki Kurozu
  • 二階堂ふみ、真木よう子『蜜のあわれ』/photo:Naoki Kurozu
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  • 二階堂ふみ『蜜のあわれ』/photo:Naoki Kurozu
  • 真木よう子『蜜のあわれ』/photo:Naoki Kurozu
  • 『蜜のあわれ』(C)2015『蜜のあわれ』製作委員会
  • 二階堂ふみ、真木よう子『蜜のあわれ』/photo:Naoki Kurozu
  • 真木よう子『蜜のあわれ』/photo:Naoki Kurozu
  • 二階堂ふみ『蜜のあわれ』/photo:Naoki Kurozu
女優に対して、誰かに「似ている」などと言うのが失礼なのは承知しているが、やはりこの2人、似ている気がする。顔や演技がではない。本能的に女優であること、そして、演じるということへの魂を焦がすような激しさが…。

真木よう子は「遠くはないと思いますね。“熱”という部分はどちらも持ってると思いますし、あふれるパワーみたいなものはすごく似てるし、きっと他人からはそう見えるのかなって」とうなずき、さらに付け加える。「そういえばウチの娘がね、写真を見て『ママ。このコ、ママとそっくりだね』って言ってたの(笑)」。二階堂ふみはその言葉に「それはとっても嬉しいです」と柔らかい笑みを浮かべた――。

二階堂ふみと真木よう子が、それぞれ金魚と幽霊という“人間ならざるもの”を演じた映画『蜜のあわれ』がまもなく公開となる。老作家(大杉漣)をめぐり、互いを牽制し、さや当てを繰り広げ、やがてなぜか友情をはぐくむ。なんとも幻想的で美しく、儚い世界の中で、彼女たちは何を感じたのか?

原作は大正から昭和にかけて活躍した作家・室生犀星(むろうさいせい)の晩年の小説。犀星自身を投影したと思しき老作家の“おじさま”と、無邪気な金魚の少女・赤子のコミカルでエロティックな恋が展開する。そこに老作家の過去の女で幽霊のゆり子も加わり、石井岳龍監督の作り出す映像世界の中で、奇妙な三角関係が展開する。

実は、二階堂さんにとってこの原作小説は、17歳の時に出合って以来、映像化を望み続けてきた作品。2012年当時、発表したフォトブック「進級できるかな。」の中でも「おかっぱで赤いワンピース」で金魚を演じたいと綴っていた。

「小説を読んだとき、ワケの分からない面白さを感じました。こういう“分からないから面白い”作品があってもいいんじゃないかって。石井岳龍監督の現場にも行ってみたいと思っていたので、思い続けたことが叶いました!」。

二階堂さんは金魚を演じる上で、その“分からない”ことを無理に説明、解釈しようとはしなかった。

「実像のない役ですし、なるべく言葉に意味を持たせたくなかったんです。意味を意識することなく、おじさまと言葉遊びをするような感覚で、好きな漫画の動きを参考にしたりしながら作っていくのが楽しかったですね」。

「ワケわかんない」と感じたのは、真木さんも全く同じ。

「いや、もうホントに、5~6回、読んでも分からなくて、真っ白なまま現場に行きました。ゆり子について、石井監督に言われたのは、『生きてない。でも感情を持っている』ということ。『生きている人間が出すのとは違った複雑な感情でやってくれ…』と。正直、難しかったですね」。

映画の完成に二階堂さんは「感無量」と感慨を口にし、老作家と金魚の関係性に触れつつ、名だたる文豪たちの時代を生きた犀星の人生に思いを馳せる。

「犀星は長く生きた人ですが、太宰に芥川しかり、すごい作品を若いうちから生み出た文士たちは、自ら命を絶っている。映画の中でも、おじさまは芥川の死について『純粋に文学的な死だったと思う』と言ってるけど、それはあの時代の犀星の気持ちがそのまま出ていると思うし、いろんな死を見送りつつ、書き続けてきた犀星だからこそ、晩年にこういう作品を書くことができたんじゃないかって思います」。

真木さんも、完成した作品の中で、高良健吾が演じた若かりし芥川龍之介が登場するわずかな回想シーンが強烈に印象に残ったという。

「文学小説を1ページずつめくりながら読んでるような気持ちで見てましたね。言ってみれば、全ては作家の幻想のようなところでもあって…。一番好きなのは老作家と金魚がケンカするシーンで『僕が書くことをやめたら、きみは存在しなくなるんだがね』と言うところ(笑)。作家が作家であるが故の狂気や危うさ――作家の物語を見せつけられた気がします」。

作家が紡ぐことで生まれ、動き出すドラマ。それは、ある意味で男の勝手な欲望や女性に対する願望の産物とも捉えられる。それでも、二階堂さんは犀星をこんな言葉で弁護する。

「犀星は、決してエゴだけで女性を理想化してない気がするんですよね…理想化してるところもあるんですけど(笑)。やはり、晩年の作品ということもあってか、理想だけでなく、そこに同じだけ“経験”があって、リアルに描かれている。そういうところが細やかで、昔の文士は違うなって思います」。

「同じく」と二階堂さんの言葉にうなずく真木さん。図らずも、カウンターパンチとなり、現代の男たちの前に強烈な拳が繰り出されているのかもしれない…。逆に、時代を颯爽と駆け抜ける2人にとって、理想の女性像とは? 

「真っすぐに生きたい」と二階堂さんは語る。「高峰秀子さんが好きで、彼女が書かれたエッセイを読むと、芯がしっかりと通っていて憧れますね」。

真木さんが続ける。「独立して強い女性を、これからきちんと日本の男が認めていくべきだなって思います。それこそ“草食系”なんて呼ばれる、つまんない男たちが多いですが、きちんと自分の足で立っている女性が本当にいい女なんだって認められる社会になってほしいです」。

そう語る2人の顔は、やはり同じように熱を発し、そしてまぶしく光り輝いている。
《photo / text:Naoki Kurozu》

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