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【インタビュー】知英、女優として自分らしく生きる覚悟を「自分を信じて歩んできた」

切なさで胸が締めつけられる一方通行の恋。誰もが経験したことがあるだろう。でも、そのカタチは人それぞれ。映画『全員、片想い』…

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『全員、片想い』知英/photo:Nahoko Suzuki
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  • 『片想いスパイラル』(C)「全員、片想い」製作委員会
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切なさで胸が締めつけられる一方通行の恋。誰もが経験したことがあるだろう。でも、そのカタチは人それぞれ。映画『全員、片想い』には8つの秘めたる恋が描かれていて、観る者が誰かの想いに、かつての、もしくは今の自分を重ねることができる。そんな恋の中でも、トランスジェンダーの男性ソヨンの恋を描いた『片想いスパイラル』で主人公を演じているのが知英だ。難しい役に挑んだ彼女に、男のカッコ良さ、そして作品に寄せた想いを聞いた。

「日本語がお上手ですね」知英さんに、こういうのは何ともはばかられる。それは、ヴァイオリニストに「ヴァイオリンがお上手ですね」とか、ピアニストに「ピアノがお上手ですね」とか言うのと同じような気がするからだ。2014年の夏から女優として活躍の場を日本に移した彼女にとって、言葉はあくまでもツールなのだ。それは、初めてトランスジェンダーの男性役に挑んだ『片想いスパイラル』のソヨン役からもよくわかる。心と裏腹な身体を抱えながら、切ない恋に苦悩する姿が観る者の胸を熱くするのだ。

そのイケメンぶりにも公開前から話題が集まっているが、仕草や声、歩き方や表情こそ男性を観察したものの、特に誰かを参考にしたわけではないと話す。「誰かの真似をしたくはなかったので、自分が男性だったらどうするかという考えを土台にしたんです。撮影中の3日間は、心の中で自分は男だと言い聞かせていました」。

実はソヨンに入り込みすぎて、次の作品でも男っぽさが消えず、指摘されてしまったという。外見や仕草は、役に入るための重要な鍵となる。だが、それはあくまでも役作りでのハード面だ。ソヨンのカッコ良さは、むしろキャラクターのソフトである内面の男前っぷりにある。「特に、カッコよくみせなきゃとは思わなかったんです。もちろんタバコをくわえたり、服装が男っぽかったり、外側の要素はすべてが強かったので、そこで外見的なカッコ良さは表現できると思っていました。だから、自分がカッコ良さを意識し過ぎると、ちょっとオーバーになっちゃう気がして。だから、とにかく心を強くすることで、ソヨンの内面を表現したいと思いました」。

トランスジェンダーの男性で、まだ社会では好奇心を持ってみられてしまうソヨン。居場所を求めて日本に留学してきたという設定だ。「韓国では、女性だった自分を知る人が多いということで、より難しい生活を強いられていたのかもしれない。だから、より自分らしくいられる日本に来ることを選んだのでしょう。私自身も、女優として仕事をするために日本を拠点として選んだので、ソヨンの気持ちが誰よりも強いのは理解できた。そういうところは、自分も似ているかな。だから、この子は絶対に強い子じゃないといけないと思って演じたんです。そんな彼が初めて偏見を持たない女の子に出会って恋をするんです。その片想いから見えてくるのが、ソヨンの優しさ。上手く気持ちを表現できないし、心は男性でも見た目は女性という難しさもあるから臆病にもなる。強い反面、そんな繊細な部分もあるキャラクターなんです」。

知英さん自身、大きな覚悟と強い決意を持って来日している。「大変な時期もあったんです。私はこのままでいいのかなと悩んだり、家族と離れて海外で暮らすことがつらかったり。ただ、大変だったけれど、自分がやりたいことがあったし、私はできるんだと希望もあったから、自分を信じて歩んできた。でも、自分だけではとてもできなかった。ファンやスタッフの皆さんが支えてくれたからできたこと。難しい時期を乗り越えてきたからこそ、もっと強くなることができて、今笑っていられるんだと思います」。

くじけそうになっても、つらい時期を乗り越えられた理由とは?「帰りたかったことがないと言えばうそになる。でも、負けず嫌いなんです。 “自分が好きで選んだ道なのに、ここであきらめるわけにはいかない”という気持ちがあった。韓国にもファンの皆さんはいる。でもここには、日本人じゃない私をこんなにも応援してくれ、信じてくれる人がいる。私がいるから笑えるとか、元気になれるとか言ってくれる人がいる。だから頑張れるんだと言い聞かせていました。今は日本にも家族ができたんです。猫を飼い始めたので、今はちゃんと日本にも心の基盤ができて、とても幸せ。それに、ソヨンのような素敵な役に出会うと、尚のこと続けてきて良かったと思える。こういう役に出会えたのも、辛い時期にがんばったからだと思えるんです」。
《text:June Makiguchi/photo:Nahoko Suzuki》

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