【インタビュー】声優・島崎信長、“そこに生きている”ことに集中できた『君の名は。』の現場

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島崎信長『君の名は。』/photo:Nahoko Suzuki
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  • 『君の名は。』(C)2016「君の名は。」製作委員会
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エンドロールが流れるなか感じた、胸がしめつけられるような切なさ。そして、自分のこれまでの人生において、そういった類いの切なさが果たしてあっただろうか? と、つい柄にもなく思い返してしまうこの気持ち──『君の名は。』にはなぜ、こうもリアルに自分ごととして入り込んでしまう力があるのだろうか。

「今回俳優さんたちとご一緒させていただきましたが、基本的にやることは普段の声のお芝居の現場とあまり変わらなかったので、そんなに戸惑うことはなかったですね。作品の世界観に適合するお芝居をするために、主演の神木さんをはじめ、みなさんが作り上げる空気感に正面から向き合って、同じ場所に立とうとしたら自然とお芝居が出てきたのかなあと思います。でも、普段よりも“同じ場所に立つ”ということはよく考えました」。

こう語るのは、神木隆之介演じる立花瀧の友人・藤井司役の島崎信長だ。メインキャストに俳優陣が並ぶ『君の名は。』だが、加えて、島崎信長、石川界人、悠木碧といった、アニメの第一線で活躍している実力派若手声優ががっちりと脇を固めているのも見どころである。なかでも島崎さんの演じる司は、物語が核心へ迫っていく重要なシーンをはじめ、多くの場面に登場する役どころだ。

普段は演じるフィールドが異なる俳優と声優が、声の芝居で掛け合いをする際に、現場ではどのような化学反応が起こるのだろうか。島崎さんに尋ねてみたが、“俳優と声優が掛け合う”ということよりもむしろ重要なのは、“新海誠監督の作品を演じる”という部分にあったようだ。

「“同じ場所に立つ”というのは…新海監督の作品って、地に足がついているというか、現実に近い感覚のリアリティーがあるように思うんです。そのうえで、アニメにしかできないことや、アニメにおけるファンタジーみたいなものも織り交ぜている。そういったなかで、僕は主人公・瀧くんの同級生というキャラクターで、しかもよく絡む役どころだったから、普段のやり方や常識に囚われすぎると…実際の現実に近い世界観のなかで、急にファンタジーからやってきた人になってしまうかもしれない。だから僕は、『君の名は。』という作品のなかで、同じ世界に住んでいる、同級生で距離感も近い、対等な立場の人間なんだっていうところを、観ていただいた方にきちんと違和感なく伝える必要がある。そういう意味では、ちょっと気は遣ったかもしれませんね」。

「新海監督が描くリアリティーを、アニメーションに乗せて違和感なく伝える」というのは、デフォルメされた世界を演じることの多い声優という職業柄、なかなか難しいことのように思えるが、『君の名は。』という作品においては絵の持つ力が大きいため、自然と芝居が引き出されていったと島崎さんは語る。

「なにより、絵がものすごく芝居をしてくれているのが大きいですね。キャラクターの表情や動きで十分伝わっているから、説明を盛るような芝居をする必要がない。そこに生きている人間の生のリアクションとして、突き詰めて考えることができるんですね。その場でのやりとりに集中できるんです。神木さんが演じる瀧がいて、彼と会話する司としての僕がいて。瀧に話しかけられて、反応する。もうちょっとこの感情を盛ったほうがいいかな? とか、伝えやすくしたほうがいいかな? とか、そういうのを加味せずに、純粋にそこに生きている司という人間が、実際にこう話しかけられたらこう返事するだろうなってところに集中できました。盛る部分や伝える部分は、絵や演出にお任せできる環境だったから、本当にその場に行って会話してきた感じです。そこでの会話や、“そこに生きている”ことに集中できたのが大きいんじゃないかなあ」。

島崎さんが“そこに生きている”ことに集中できたのは、絵の力に加えて、俳優・神木隆之介の力も大きかっただろう。まさに“そこに生きている”ことを演じるプロフェッショナルともいえる神木さんとの掛け合いは、島崎さんにとっても刺激的な体験だったようだ。

「声で演じるお仕事のときって、なんとなくのお約束や型みたいのがあって。もちろんそれは紛うことなき必要な技術で、とっても素敵なことなんですけど、『君の名は。』に関しては、神木さんがそういうものに良い意味で染まっていない、等身大のお芝居をされていました。イメージとしては、アニメーションだけど…それこそ日本人が演じている実写映画の声をあてる、と言っても違和感がないくらい、現実世界に近いリアリティーに寄せているんだろうなって思いました。だから神木さんとの会話は、本当に等身大でぶつけてくれるからやりやすかったですし、気持ちがよかったですね」。

《text:とみた まい/photo:Nahoko Suzuki》

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