今年で監督デビュー25周年を迎えるホン・サンス監督は、来月開催される第74回カンヌ国際映画祭の新部門カンヌ・プレミア部門に最新作にして26作品目『In Front of Your Face』(原題)が出品され、ハイペースで新作を発表し続けている映画作家。
本作のタイトルについて、「逃げた女」(The Woman Who Ran)とは誰のことなのか。彼女は何から逃げているのか、尋ねてみると、「実は誰かは決めていなかったんです(笑)」と明かす。「私はこのタイトルが気に入っていて、とても満足しています。私がこのタイトルを付けたら、人々が映画を見て、どんなことをタイトルに関連づけるか推測もしてみましたが、私が何を望むのかはっきりさせる前に考えるのを止めました。私がただ言えるのは、そう感じることが好きだということだけです」と話しつつ、「もう少し考えてみるならば、おそらく、この映画のすべての女性たちが何かから逃げていると言えるでしょう。それは虐げられることからであったり、満たされないことからであったり...。でも、むしろそれははっきりさせない方がいいんです」と真意を明かす。