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ペ・ドゥナ「出る杭は打たれる」という言葉に衝撃…「出る杭が集まっていれば」

ペ・ドゥナ、水川あさみ、プロデューサーの鷲尾賀代が、第36回東京国際映画祭の公式プログラム「ケリング」による「ウーマン・イン・モーション」トークイベントに参加。是枝裕和監督がオープニング・スピーチ

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韓国俳優ペ・ドゥナ、朝ドラ「ブギウギ」にも出演中の水川あさみ、WOWOWプロデューサーの鷲尾賀代が、第36回東京国際映画祭の公式プログラムとして開催されたグローバル・ラグジュアリー・グループ「ケリング(KERING)」による「ウーマン・イン・モーション」トークイベントに参加。是枝裕和監督がオープニング・スピーチを行った。

「ウーマン・イン・モーション」は、カメラの前と後ろで活躍する女性たちに光を当てることを目的に、カンヌ国際映画祭のオフィシャル・パートナーとなった「ケリング」が、同映画祭の公式プログラムとして2015年に発足したプログラム。東京国際映画祭における「ウーマン・イン・モーション」トークは、2019年、2022年に続き、今年で3回目の開催となる。

今回は、韓国を代表する俳優の1人で、是枝監督の『ベイビー・ブローカー』やハリウッドでも活躍する俳優のペ・ドゥナ

主演作『滑走路』や『喜劇愛妻物語』が高い評価を受け、毎日映画コンクール女優主演賞、キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞を受賞、短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」シーズン4の1作『おとこのことを』(22年)で監督業に進出するなど活動の場を広げている水川あさみ

さらにWOWOWにてチーフプロデューサーとして国際共同制作と洋画配給を担当し、直近では共同制作を手掛けた映画『私たちの声』が2023年の米・アカデミー賞歌曲賞にノミネートされ、今月発表された「ハリウッド・リポーター」誌の「国際的なテレビ業界で最もパワフルな女性35人」の1人にも選出された鷲尾賀代という3人を迎えて開催。韓国、日本、米国の映画業界における女性を取り巻く環境、そしてその課題と未来について、それぞれの視点から語った。

冒頭、昨年本イベントに登壇した是枝監督が、「映画の現場で活躍する女性たちが、何が課題なのかを語り合う『ウーマン・イン・モーション』が東京国際映画祭の一環として開催されることは、僕は大きな進歩だと思っています」と挨拶。

「僕自身、昨年から『action4cinema』という映画界で働く環境を少しでも良くしていきたいという活動をしており、その中には女性が結婚や出産を経ても仕事を続けられる環境を整備していけるかを提言し、働きかけていこうと思っています。この中にも今後映画界で働きたい方や役者として現場に立ちたいと思っている方たちもいらっしゃると思いますので、ぜひ一緒に一歩ずつ日本の映画を巡る環境を良くしていく仲間になってください」と呼びかけた。

水川あさみも驚いた韓国観客のリテラシー、「映画をよく知っています」とペ・ドゥナ

先日の第28回釜山国際映画祭に初めて参加した水川さんは、韓国の文化としての映画の水準や観客のリテラシーの高さに驚いたそうで、そんな韓国の観客について、ぺ・ドゥナさんは「こんなに映画が大好きな民族は珍しいですし、映画館で映画を観ることが日常生活に溶け込んでいる。映画をたくさん観る分だけ映画をよく知っていますし、韓国のコンテンツ力が上がっているのは韓国の観客のレベルが上がっているから。そこに私たちも合わせるという相互作用が働いているのだと思う」と、韓国コンテンツの強さの理由についても言及した。

映画界における女性を取り巻く環境の変化についてのテーマでは、水川さんは「女性のスタッフが増えてきたと感じますし、女性の撮影監督やチーフを目にすることも増えました。でも映画業界においては、女性が年齢を重ねていき、結婚して子どもを産んだり、家庭を持ちながら仕事をすることと上手くバランスをとれないことのほうが、まだまだ多いと正直感じます」と吐露した。

「アメリカは短期間で業界がガラッと変わった」

また「#MeTooムーブメント」についての話題になると、アメリカで10年以上プロデューサーとして活躍する鷲尾さんは、ムーブメントが始まった当時はアメリカにいたため非常に問題意識があったといい、「それまで白人男性がメインで雇われていたポジションに、意図的に必ずマイノリティか女性を、という声が一気に上がりました」と語る。

「私自身は、実力のある人を雇って、それがたまたま全員白人男性や黒人女性でもいいのではと考えていました。でもアメリカの方から、いままで白人男性がずっと雇われてきたのだから、女性やマイノリティの方はまだスタートラインにも立っておらず、経験を積んできた白人男性と比べるのは不公平だ、だからいまは意図的に機会を与えるために女性やマイノリティを雇って、その後に、平等に実力で比べられる時代がくるのだ、と言われハッとしました。アメリカはこうして短期間で業界がガラッと変わったので、そういう変化を恐れないアメリカの底力も知りました。日本は変わることがものすごく不得意なので、最初はコピーからでもいいのでやるべきだと思います。韓国の映画界から学ぶこともいまはいっぱいあります」と明言した。

デビューを待つ女性監督たちを私も応援したい

そんななか、チョン・ジュリ監督の『私の少女』のような当時はまだ無名だった女性監督の作品にも出演するペ・ドゥナさんは、その真意について「基本的にはシナリオが素晴らしかったというのがありますが、新人監督であれ超低予算映画であれ、俳優にとっては関係ないです。チョン・ジュリ監督のような才能ある女性監督や、デビューを待つ女性監督たちを私も応援したい」と明かす。

「いつも『なぜ韓国には男性の映画が多いのだろう?』と疑問を持っていました。男性の主人公が多いですし、男性俳優の方が興行が多いからなのかもしれませんが、そうであれば、魅力的な女性作家が生き生きとした女性像を描き、素敵な女性が多い登場する良い映画を作れば、お客さんは来てくれる。そのような女性作家たちの活躍を、心の底から祈っています」と、自国映画界へ今後への希望を語るひと幕も。

最後に、映画業界での活躍を目指す女性たちへのアドバイスを求められた鷲尾さんは、「若い方はアメリカのフィルムスクールに行くのが、一番早い手だとは思います。日本もだいぶ変わってきたと思いますが、この業界は本当に厳しい世界。日本の文化として、出る杭は打たれるというのがありますし、まず、打たれてもめげないメンタリティを持つことが大事」とコメント。

「また、努力とあわせて、運もすごく重要な要素。チャンスはほんの数回しかやってこないものだから、それをつかみ取る準備を常日頃からしておくこと。それが私自身、いままでずっとやってきたこと。そうすれば誰かがどこかで見てくれているはず」とメッセージを送った。

これを受け、ぺ・ドゥナさんは「『出る杭は打たれる』という言葉に衝撃を受けましたが、出る杭が集まっていれば、どこに当てたらいいのか分からなくなるかもしれません。“当たって砕けろ”で、ぶつかってみる。始めようとしている人には、勇気と希望を伝えたいです」と温かくも芯の通ったメッセージを送り、イベントは幕を閉じた。

《シネマカフェ編集部》

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