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世界110か国以上でTOP10入り!転生×復讐の韓国ドラマ「私の夫と結婚して」がいま面白い理由

パク・ミニョン主演のAmazon Originalシリーズ「私の夫と結婚して」がいま、世界を席巻している。

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Amazon Original「私の夫と結婚して」© Studio Dragon by CJ ENM
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パク・ミニョン主演のAmazon Originalシリーズ「私の夫と結婚して」がいま、世界を席巻している。

最終話目前、大きな山場を迎えている本作は、過去に転生した31歳の主人公が不倫した夫と親友に復讐し、幸せをつかもうとするという転生×復讐×ロマコメのド直球な韓国ドラマ。その大ヒットぶりに日本版の制作が検討されているとの報道も出ている。

人気の秘密は、彼女が生まれ変わった<2013年>という時代が1つのポイントとなりそうだ。

本作は、韓国の同名WEBコミックを原作に、「キム秘書はいったい、なぜ?」や「私の私生活」「気象庁の人々:社内恋愛は予測不能?!」といった作品で人気を誇るパク・ミニョンと、入れ替わりファンタジー時代劇「哲仁王妃~俺がクイーン!?~」や現在公開中の映画『同感~時が交差する初恋~』にも出演するナ・イヌが共演。

夫のミンファン(イ・イギョン)と親友スミン(ソン・ハユン)の不倫現場を目撃した挙句、2人に殺されてしまった末期がんのカン・ジウォン(パク・ミニョン)が、突然10年前にタイムスリップ。不幸な死を回避し、2度目の人生を幸せに生きようとする物語で、前の人生では眼中にさえなかった会社の上司ユ・ジヒョク部長(ナ・イヌ)と知り合い協力を得ながら、人生の“ゴミ”を処分するべく運命を変えるために奮闘している。

第1話予告編

※以下、ドラマの内容に触れています。ご注意ください。

こうした転生ものといえば、日本では2023年のヒットドラマで、国内外のドラマ賞で現在11冠を獲得している「ブラッシュアップライフ」や、韓国ドラマでもソ・イングクが12回もの転生を繰り返す「もうすぐ死にます」、ソン・ジュンギが別人に生まれ変わり復讐する「財閥家の末息子~Reborn Rich~」など、いま何かと話題を呼んでいる人気ジャンル。

本作はスタジオドラゴン製作で韓国ではケーブル局tvNの月火ドラマとして放送され、第1話の5.2%から始まった視聴率は右肩上がりで上昇し、第10話で大ヒットの基準とされる2桁台に突入。そして約7年ぶりのドラマ出演となるK-POPレジェンド、BoAがラストに姿を見せた第11話では全国11.8%、最高14.1%を記録した(ニールセンコリア基準)。

日本をはじめ、それ以外の国ではAmazon Prime Videoにて配信中。韓国での報道によれば、初放送(配信)が始まった1月第1週のPrime Videoグローバル・TVショー部門の週間順位は6位、2週目で2位に躍り出ると4週目まで3週連続でトップ2を維持。

1月30日までの累積で世界112か国のトップ10に入り、日本、香港、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、シンガポールなど33か国で1位を獲得。さらに韓国ドラマで初めてアメリカ(最高2位)、イギリス(最高4位)、カナダ(最高2位)、ドイツ(最高4位)、スペイン(最高6位)、スイス(最高2位)、スウェーデン(最高4位)など、欧米圏のPrime VideoでもTVショー部門トップ10入りを果たした。

特に欧米で受けている、として記事になっていたが、南米やアフリカ、中東などでもトップ圏内である。2月に入り新作ドラマやアニメが出てきている中でも、部長がジウォンの代わりに事故に遭った第12話後の2月7日には39か国で1位に。第14話配信後の2月14日現在では、日本でトップ1に返り咲くなど上位をキープしており、インドネシア、香港、フィリピン、マレーシア、コロンビア、カタール、UAEなど連日1位となっている国もある(FlixPatrol基準)。

その人気の要因としては、
●2度目の人生を生きるパク・ミニョン扮するジウォンの生き生きとした姿、復讐する姿がとにかく痛快でカッコいい。

●ナ・イヌ演じるユ・ジヒョク部長が実は大学時代からジウォンに片想い。ジウォンの幸せのために彼自身も限りある運命の中で変わろうとしており、部長ファンが急増!2人のケミも甘々。

●ジウォンの初恋の人で、腕のいいシェフになったペク・ウンホ(イ・ギグァン)が部長のライバルに!?

●復讐相手となるミンファン役のイ・イギョンとスミン役のソン・ハユンが憎たらしいまでの演技巧者で、ヴィランとして最高。

…といったものが挙げられるだろう。

ユ・ジヒョク部長役で人気上昇中のナ・イヌ

そして、もう1つ挙げるとするならば、転生した先が2013年という点かもしれない。

2013年は「BTS」がデビューした年である。思えば第6話、生き直しながら以前の人生とは別人のような勇気を発揮していたジウォンは、彼女の企画を横取りした「これだから女はダメなんだ」を口癖に息をするようにセクハラ・パワハラをするキム課長や“パワハラもぐら”というあだ名のついたワン常務を懲らしめたことで、歓喜しながら屋上で“デビューしたばかり”の「防弾少年団(BTS)」を聴いている。

すると部長も屋上にやってきて「BTSか、私も好きです」と言う。ジウォンとしては「Dynamite」で盛大に祝いたい気分だったが、あいにく当時はまだ影も形もない。部長は「Spring Day」も「名曲だよ」と返すのだが、そこで2人はお互いにハッとなる。

「Dynamite」のリリースはコロナ禍真っ只中の2020年、「Spring Day」は2017年の楽曲で、そもそもデビュー当時なら「BTS」ではなく「防弾少年団」と呼ぶのが一般的だ。なぜ、2013年にその名を、その曲を知っているの…!? と、ここで初めて2人はお互いが転生していることに気づく(視聴者はもちろん知っている)…という粋な演出があった。

しかも、部長のオススメ「Spring Day」は「君に会いたい、どれだけ待てば君に会えるんだろう」と繰り返す歌詞でも知られる心憎い選曲だ。

「BTS」といえば、「Spring Day」から「Dynamite」の間に「LOVE YOURSELF」をテーマにした楽曲・アルバムを発表して、そのメッセージに共感したファンがじわりじわりと世界中に広がっていった。

ところが、前回の人生のジウォンは極端に自己肯定感が低く「LOVE YOURSELF」の対極にいた。職場公認の恋人から夫になったミンファンや中学からの唯一の親友スミンにしか頼れる者がなかった彼女は、彼らの日常的な言動により心理的にコントロールされ、「悪いのは自分だ」と思い込まされて自立する力や判断力を奪われていた。一時期、韓国でも話題になったガスライティングといえる。

ミンファンは打算的で、結婚したら豹変したミソジニー夫だ。有名大卒の正社員で蓄えがあり、控えめで逆らわないからジウォンは結婚相手として最適、というのが彼の結婚論で、何かにつけジウォンを頭ごなしに怒鳴りつけ、責任転嫁する。ジウォンが萎縮すると「だからおまえはダメなんだ」「女はどうしようもないな」などと追い打ちをかける。ミンファンのようなジェンダー観を形成させた家父長制への風刺もある。

また、スミンはさらに狡猾に、表向きは笑顔で、ジウォンが自分を責め否定するように外堀を埋めながら物事を運んでいく。ジウォンが幸せそうで愛されていることが許せず、彼女のものはすべて奪おうとする略奪者だ。たとえ相手が親友であっても、肉親だったとしても、自分自身が虐げられる関係性は健全ではなく決して幸せにはなれない。

2013年はまだ「LOVE YOURSELF」のメッセージへの共感が広がる以前、「#MeToo」運動のミもない時である。“女性であること”が理由で若い女性が襲われた「江南駅通り魔殺人事件」や「n番部屋事件」、「バーニング・サン事件」なども起こる前で、映画化もされたベストセラー「82年生まれ、キム・ジヨン」が刊行される3年前である。

本作ではそのころから(いや、それ以前から)無自覚に繰り返されてきた“不適切さ”をオーバーなくらいに露呈させたうえで、「私たちはこれほど生きづらいんです」ときっちりと復讐していくからこそ、どんどん見進めたくなるのではないだろうか。

と同時に、2度目の人生のジウォンは自分自身を愛せるようになり、真実の愛にも支えられている。一緒にいるだけで自己肯定感を上げてくれる、明るくて前向きなマーケティングチームの“マンネ”で部長の義妹ヒヨン(チェ・ギュリ)や、同じように長らくセクハラ・パワハラに耐えてきたヤン課長(コン・ミンジョン)の存在も大きい。

だが! 晴れて部長と結ばれ、ミンファンとスミンを結婚させて復讐を終えたかに思えた矢先、ジウォンの前に部長の元婚約者で財閥のオ・ユラ(BoA)が現れ、また運命が変わり始めてしまう。金にものを言わせ人の命さえも思いどおりになると考えているユラは、いわば“ラスボス”である。

そして、“前の人生で起こることは今回も必ず起こる”のが本作の転生ルール。今度はジウォンの代わりに、ニートの夫が浮気をしていたヤン課長が胃がんになる運命を負ってしまった。ジウォンは再びとてつもない勇気を発揮して新たな復讐に向かうことになるが、“生まれ変わった”彼女はもう孤独ではない。

奇しくも、自立や尊厳のために闘う女性たちの物語として世界的に大ヒットした『バービー』や、ミュージカル映画として蘇った『カラーパープル』、独特の世界観で注目を集める『哀れなるものたち』などに相通じるものが本作にはあるのだ。

Amazon Original「私の夫と結婚して」はPrimeVideoにて独占配信中。


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《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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