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ヴェネチアで審査員特別賞!“人間の兵器”とされる国境の難民を圧倒的リアリズムで描く『人間の境界』公開

第80回ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞、ポーランドとベラルーシの国境の難民家族の過酷な運命を描いた巨匠アグニエシュカ・ホランド最新作『人間の境界』5月3日(金・祝)に日本公開が決定。

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2023年・第80回ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞し、ポーランドとベラルーシの国境で「人間の兵器」として扱われる難民家族の過酷な運命を描いたポーランドの巨匠アグニエシュカ・ホランド最新作『Green Border』(英題)が、邦題『人間の境界』として5月3日(金・祝)に日本公開が決定した。

ポーランド政府は2021年9月、EU諸国への亡命を求める人々で溢れるベラルーシとの国境付近に非常事態宣言を発令。ジャーナリスト、医師、人道支援団体らの立ち入りを禁止した。

入国を拒絶された難民たちは国境で立ち往生し、極寒の森をさまよい、死の恐怖にさらされた…。

本作は、ベラルーシ政府がEUに混乱を引き起こす狙いで大勢の難民をポーランド国境へと移送する<人間兵器>とよばれる策略に翻弄された人々の過酷な運命を、シリア人難民家族、支援活動家、国境警備隊の青年など複数の視点から描き出す群像劇。

安全な生活を送れると信じてポーランドへ渡ってきたシリア人家族。しかし、ようやく辿り着いた直後、武装した警備隊から非人道的な扱いを受けた上にベラルーシへ送り返され、そのベラルーシからも再びポーランドへ強制移送されるという、どちらの国からも暴力と迫害に満ちた過酷な状況を強いられ、終わりのない無限地獄のような日々を過ごすことになる…。

監督は、3度のオスカーノミネート歴を持ち『ソハの地下水道』『太陽と月に背いて』など数々の名作を世に送り出してきたポーランドの巨匠アグニエシュカ・ホランド。

友人のカメラマングループと国境の写真を撮影するなど難民をめぐる問題を追っていた彼女は、この事態を受け情報が遮断された2021年に「国境に行くことができなくても、私は映画を作ることができる。政府が隠そうとしたものを、映画で明かそう」と本作の製作を決意したと語る。

政府や右派勢力からの攻撃を避けるためスケジュールや撮影場所は極秘裏のうちに、24日間という驚異の猛スピードで撮影を敢行。隠蔽されかけた国境の真実を、大量のインタビューや資料に基づき、心を揺さぶる人間ドラマとして映像化を果たした執念の1作だ。

実際に難民だった過去や支援活動家の経験を持つ俳優をキャスティングしたことで、ドキュメンタリーと見紛うほどの圧倒的なリアリズムが産み出されている。

2023年ヴェネチア映画祭コンペティション部門でお披露目されると、その複雑かつスリリングで息をもつかせない展開が、モノクロームの圧巻の映像美とともに絶賛を集め、審査員特別賞を受賞。ロッテルダム国際映画祭の観客賞をはじめ、これまでに17の賞を受賞、20のノミネートを果たし(2月27日現在)世界各国の映画祭で高い評価を獲得している。

こうした国際的な圧倒的高評価の一方で、当時のポーランド政権は本作を激しく非難、公開劇場に対して上映前に「この映画は事実と異なる」という政府作成のPR動画を流すよう命じるなど異例の攻撃を仕掛けた。しかし、ほとんどの独立系映画館がその命令を拒否。ヨーロッパ映画監督連盟(FERA)をはじめ多数の映画人がホランド監督の支持を表明し、政府vs映画という表現を巡る闘いが世界的な注目を集めた。

政府からの猛批判は監督が訴訟を示唆するまでに発展し、宣伝会社のSNSに誹謗中傷が寄せられるなど監督自身が身の危険を覚えるほど論争が激化する中、ポーランド国内では公開されるや2週連続トップの観客動員を記録。ポーランド映画として当時年間最高となるオープニング成績をたたき出し、異例の大ヒットとなった。

この度解禁となった日本版ポスターは、ポーランドとベラルーシ国境の鉄条網を隔て、シリアからの難民である幼い少女と銃を携えた国境警備隊の兵士が相対するシーンを切り取った力強いデザイン。

2人の間には国境線を思わせる亀裂が入り、少女の真っすぐな視線とともに『人間の境界』という邦題により、我々に「人を隔てるものは一体何なのか?」という現在の難民をめぐる問題を象徴しながらも根源的な問いを投げかける。キャッチコピーは「その場所で、人間は兵器になる」。政治のコマとして移民を利用するベラルーシの策略に、幼い子どもすらも巻き込まれているという不条理な惨状が迫るものとなっている。

『人間の境界』は5月3日(金・祝)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開。


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《シネマカフェ編集部》

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