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3作品ノミネート、日本勢オスカー制覇なるか? 第96回アカデミー賞予想

今年も映画ファンお待ちかね、アカデミー賞の日が刻々と近づいている。受賞者に授与される像のニックネームから、通称"オスカー"の愛称で親しまれるこの映画の祭典は今年96回目を迎える。

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アカデミー賞 Photo by Santi Visalli/Getty Images
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  • 【第95回アカデミー賞】作品賞は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』Photo by Kevin Winter/Getty Images
  • 『オッペンハイマー』© Universal Pictures. All Rights Reserved.
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  • Photo by Monica Schipper/FilmMagic
  • 『哀れなるものたち』©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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  • 『バービー』プレミア Photo by Christopher Polk/WWD via Getty Images

今年も映画ファンお待ちかね、アカデミー賞の日が刻々と近づいている。受賞者に授与される像のニックネームから、通称"オスカー"の愛称で親しまれるこの映画の祭典は今年96回目を迎える。

すでに前哨戦として、全米映画批評家賞、PGA(全米プロデューサー組合賞)など、様々な映画賞がすでに発表されている。歴代オスカー受賞者の統計から、結果がアカデミー賞に反映されると言われているDGA(全米監督組合賞)、BAFTA(英国アカデミー賞)などの受賞結果を基に、今年のアカデミー賞を展望してみた。

アカデミー多様性基準の施行でアジア作品席巻


昨年の第95回アカデミー賞受賞式 Photo by Kevin Winter/Getty Images

アカデミー賞を管轄する米国映画芸術科学アカデミーが、今年より新たにノミネート作品の選出ガイドライン(“Representation and Includsion Standards ー 代表性と包摂の基準”)を施行した。「これまでのアカデミーは、多様性と平等性に欠けている」との世論を反映してのガイドラインだが、その恩恵を受けてアジア系の俳優や作品のノミネーションが目立っている。そしてなんと言っても注目されているのは、日本映画3作品だ。

『君たちはどう生きるか』©2023 Studio Ghibli

筆頭を飾るのが、長編アニメーション賞候補の宮崎駿監督作『君たちはどう生きるか』。日本アニメがこの部門で候補に上がるのは、2019年の細田守監督作品『未来のミライ』以来。先日開催されたBAFTA(英国アカデミー賞)の長編アニメ部門でも、ピクサーやマーベル作品をしりぞけて見事受賞を果たしたことから、今月の米国アカデミー賞受賞にも大きな期待が寄せられる。

『ゴジラ-1.0』©2023 TOHO CO., LTD.

次に話題となっているのは、日本映画として初の視覚効果賞候補となっている『ゴジラ-1.0』。本作の山崎貴監督は、脚本、VFXともに手掛けたというからスゴい。ちなみにアカデミー視覚効果賞を、監督自身が受賞したのは、1969年の第41回アカデミー賞にて、『2001年宇宙の旅』におけるスタンリー・キューブリック監督の受賞が最初で最後。アメリカのゴジラ熱はかなり熱いうえに、『ゴジラ-1.0』は批評家の支持も高く興行的にも成功しており、山崎監督のオスカー受賞も夢ではない。

『PERFECT DAYS』©2023 MASTER MIND Ltd.

日本からの映えあるノミネート作品3本目は、『PERFECT DAYS』。ヴィム・ヴェンダース監督作品だが役所広司主演の日本製作と言うことで、国際長編映画賞にノミネートされており、第94回アカデミー賞(2021年)同部門における日本作品『ドライブ・マイ・カー』以来の受賞が期待されている。

本作は、大都会でコツコツと働くトイレ清掃員(役所広司)の日常を詩情的に描いた作品。2023年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所さんが男優賞を受賞するという快挙を果たしている。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』©2022 CTMG. © & TM 2022 MARVEL. All Rights Reserved.

さて、BAFTAで受賞した作品はアカデミー賞でも受賞する確率が高い、という一般論がある。先日開催されたBAFTAでは長編アニメーション部門で『君たちはどう生きるか』が見事に受賞を果たしている。ハリウッド評論家たちのアカデミー賞下馬評では、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が先頭を走っている。だが、感触的に最後はアカデミー会員の投票がものを言い、『君たちはどう生きるか』が受賞するのでは…と筆者は予想している。

主要部門で『オッペンハイマー』を追いかける『哀れなるものたち』


『オッペンハイマー』© Universal Pictures. All Rights Reserved.

原爆の父とされる科学者ロバート・オッペンハイマーの苦悩に満ちた半生を描いた映画『オッペンハイマー』は、今年度の映画賞サーキットにおいて主役格と言っても過言ではない。テーマがテーマだけに日本ではまだ未公開で、やっと今年に入ってから公開が3月29日に決まったところだ。

しかし本国アメリカとイギリスではこれまで行われた映画賞において『オッペンハイマー』が席巻している。BAFTAでは作品賞をはじめ、キリアン・マーフィーの主演男優賞、ロバート・ダウニー・Jr.の助演男優賞、そしてクリストファー・ノーランが監督賞も受賞して主要部門を総なめにした。

『哀れなるものたち』©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『オッペンハイマー』の良きライバルとなっているのは、11部門でノミネートされている、エマ・ストーン主演『哀れなるものたち』。BAFTAではエマ・ストーンの主演女優賞受賞を筆頭に、5部門で栄冠に輝いている。

米国アカデミー賞において『オッペンハイマー』は、作品、監督、主演・助演男優部門での勝利が有力視されているが、『哀れなるものたち』は主演女優賞をはじめヘア・メイクや舞台美術(Production Design)などの美術部門での受賞が濃厚と見られており、オスカー像の個数では接近戦となりそうだ。

『ホールドオーバーズ』Seacia Pavao / © 2023 FOCUS FEATURES LLC.

さて、日本では6月21日公開予定の秀作『ホールドオーバーズ』で主演男優賞候補ポール・ジアマッティ受賞の可能性も捨てたものではない。彼の役どころは万年不機嫌な全寮制私大教授。クリスマス休暇で帰る場所がない学生たちのお守りを押し付けられたことから始まるハートフルな人間ドラマだ。

ポール・ジアマッティという俳優は、アメリカ映画において縁の下の力持ち的な性格俳優として知られている。今回が初のノミネーションで、えてしてセンチメンタルだと言われる米国アカデミー会員がいかにも心寄せそうな俳優といえる。

アカデミー賞/ジミー・キンメル Matt Sayles/ABC via Getty Images

今年のアカデミー賞司会に抜擢されたのは、2017、2018、2023年に引き続いて米人気コメディアンのジミー・キンメル。2018年にジミーが司会をした授賞式では、作品賞のプレゼンターが誤った作品のタイトルを読み上げてしまうというハプニングがいまだに忘れ難い。とにかく当日までは何があるか分からないアカデミー賞、授賞式が楽しみである。

第96回アカデミー賞はハリウッドのドルビー・シアターにて、現地時間3月10日(日)16時より開催予定。

(文・取材:神津トスト明美 / Akemi Kozu Tosto)

《Akemi Kozu Tosto/神津トスト明美》

映画プロデューサー・監督|MPA(全米映画協会)公認映画ライター Akemi Kozu Tosto/神津トスト明美

東京出身・ロサンゼルス在住・AKTピクチャーズ代表取締役。12歳で映画に魅せられハリウッド映画業界入りを独断で決定。日米欧のTV・映画製作に携わり、スピルバーグ、タランティーノといったハリウッド大物監督作品製作にも参加。自作のショート作品2本が全世界配給および全米TV放映を達成。現在は製作会社を立ち上げ、映画企画・製作に携わりつつ、暇をみては映画ライター業も継続中。

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