崩壊した家族を健気に支えてきた佐和子(北乃きい)の身に起こる突然の悲劇。しかし皮肉にもその悲劇により、家族は再生への道を歩み始める…。父を辞めた父(羽場裕一)、家出中の母(石田ゆり子)、元・秀才の兄(平岡祐太)。ひとりの少女・佐和子の視点を通じて、その家族の再生と崩壊を綴った、瀬尾まいこのベストセラー小説(講談社刊・第26回吉川英治文学新人賞受賞作)がついに映画化。
小松隆志
瀬尾まいこのベストセラー小説を原作に、ある家族の崩壊と再生を綴った『幸福な食卓』。「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」という衝撃的な台詞で始まる本作で語られるのは、中学生の少女・佐和子の目線を通して見つめた家族のドラマだ。3年前に自殺を図った父親、その事件をきっかけに家を出て一人暮らしを始めた母親、大学進学を辞めて農業の道を選んだ兄——。そんなシリアスな要素が独特の穏やかな雰囲気でくるまれているが、母親を演じた石田ゆり子自身、最初は「原作の優しい空気感を映像に表すのは難しいんじゃないかと思いました」という。 「原作の一ファンとしては、映像にするのが怖いくらいだったんです。でも、家族のひとりひとりがすごく優しくて、優しさゆえに距離を置こうとし、ぎくしゃくしてしまう。そんな家族のドラマを演じてみたい気持ちが勝りました。あと、怖いといえば、中学生の子のお母さんならまだしも、20歳を超えたお兄ちゃんもいるお母さんを演じるなんて……という不安もあったんですけど(笑)」
女性を中心に、幅広い読者層に支持を受ける人気作家・瀬尾まいこの代表作を映画化した『幸福な食卓』。10月12日(木)に行われた完成披露試写会には小松隆志監督をはじめ、キャストの北乃きい、勝地涼、平岡祐太、石田ゆり子、羽場裕一が揃い、舞台挨拶で本作への想いを語った。