寂れた寄席で、毎夜“すみれ”という人形を片手に腹話術劇を演じる男、文月(小谷建仁)。すみれは、5年前に右腕だけを残し失踪した、文月の妹なのである。ある日、妹によく似た女性を見かけた文月は、彼女を追い求めて暗い森へと足を踏み入れ、そこですみれの元恋人・螢介(松岡龍平)と再会する。螢介は、すみれの右腕に執着し、森の奥の廃墟で人工植林という危うい実験を繰り返していた。すみれを捜し求める2人の男たちは、それぞれの愛に導かれ狂気の沙汰に飲み込まれていく…。
金子雅和