7歳の息子・シモン(シモン・イテアニュ)と2人で一緒にパリで暮らす、人形劇師のスザンヌ(ジュリエット・ビノシュ)。新作の準備に追われる日々の中で、スザンヌは、友人とのトラブル、夫との別居状態などによって情緒不安定になっていた。そんなある日、彼女に代わり、中国人留学生のソン(ソン・ファン)が、シモンのベビーシッターとしてやって来る。映画学生であるソンは、やがてシモンと打ち解け、ラモリスの『赤い風船』の舞台となったこの町で、彼を主役にした映画を作り始める。そして、パリの街を漂う赤い風船が、孤独なシモンをじっと見守るかのようについてくる――。『珈琲時光』のホウ・シャオシェンが、アルベール・ラモリス監督と『赤い風船』にオマージュを捧げ、パリを優しい視線で描く。
ホウ・シャオシェン