NK学院の学院長に就任した木室(長門裕之)は、一人の学生・村上大輔(井上芳雄)のことが気にかかっていた。大輔は、60年前の戦争で自分のような若者が多く死んでいったことに不条理さを感じ、そのやるせない気持ちを戦時中に生きた木室にぶつけていた。一方、木室もまた、過去への思いを背負ったまま、最期のときを迎えようとしていた。そんな折、大輔が精神病を患い、学院を中退後に木室と交わした手紙の中で、自殺をほのめかす。木室は、何とか彼の思いを留まらせようと手を尽くすのだが…。鈴木清順監督や熊井啓監督などの名監督の数々の作品で美術を担当してきた90歳の巨匠、木村威夫の初監督作品。自身の戦争体験を基に、老いと若さ、男と女、そして生と死を見つめる。
木村威夫