城勤めの無為な日々を送る平松正四郎(中井貴一)の元にある日やってきた、記憶喪失の娘、ふさ(浅野ゆう子)。彼女の純粋な魂は、やがて正四郎の人柄と人生を徐々に変えていく――。山本周五郎の短編小説を映画化させた巨匠、市川崑唯一の劇場未公開作。完成から15年の歳月を経て、スクリーンにて特別上映される。
市川崑
2008年2月13日、惜しまれながらこの世を去った巨匠、市川崑監督。70本以上に及ぶその作品歴の中で、唯一公開されていない作品が、1993年の『その木戸を通って』である。日本初の本格的長編ハイビジョンドラマとして完成しながら、ほとんど人の目に触れることなく15年もの間眠っていた本作が10月24日(金)に特別上映され、上映前の舞台挨拶に主演の浅野ゆう子と中井貴一が登壇した。