昭和47年10月14日、東京地方裁判所第701号法廷では検事が険しい表情で起訴状を読み上げていた。総理大臣の引退の花道として沖縄返還交渉を成立させたかった日本政府の意図とは裏腹に、沖縄返還に際しては国民の税金を一切使わない、と難航するアメリカとの交渉。アメリカへの訴求権を政府が前面肩代わりするする“密約”の情報をつかんだ東日本新聞政治部に所属する石山太一は、外務省の女性事務次官・筈見絹子に接触、外務省の極秘電信分のコピー3枚を入手する――。
千野皓司