1945年夏、太平洋戦争は既に終末を迎えようとしていたが、戦禍を蒙っていない樺太は、緊張の中にも平和な日々が続いていた。しかし、ソ連が突如として参戦、日本への進撃を開始した。このとき、真岡郵便局には、交換嬢たち9人がいたが、緊急を告げる電話の回線で町の人々へ避難経路を告げ、多くの人々の生命を守るため、彼女らは職場を離れなかった。そして、取り残された9人の乙女たちの胸には青酸カリが潜められていた――。
村山三男