高度成長期を支えたマンモス団地、子供たちの楽園だったテーマパーク、観客の拍手が反響した大劇場。人びとがいなくなった後には、緑が覆い、鳥が飛び、風が吹きすさぶ。誰もいない廃墟の風景に、まるでその場にいるかのような臨場感と不思議な生命力さえも感じさせられる。私たちが見ている光景は過去の産物なのか?それともこれが未来の世界なのか?そもそも人類がこの地球に存在する意味とは何なのか?“棄てられた風景”が、いま静かに語りかけてくる――。
ニコラウス・ゲイハルター