木々の間を吹き抜ける涼風が木漏れ日を揺らす夏の午後、小高い丘の上の一軒家。足下に広がる田園風景の遠くに、パリの街並みがおぼろげに見え、庭の木陰に置かれたテーブルをはさんで座る一組の男女が、最初はためらいがちに、長い対話を始める。性的体験、子供時代の思い出、それぞれの記憶、夏の本質、男と女の違いについて…。ときにゲームのように激しく言葉が応酬し、ときに長いモノローグや間、静寂へと変容する。庭に向かって大きく開け放たれた扉の奥の書斎には、タイプライターを前に、作家がひとり、庭を見つめながら座っている…。
ヴィム・ヴェンダース