小説家を目指し念願の芸大に合格した千夏は、授業で出された創作課題「初恋の思い出」の事で頭を悩ませている。千夏にとって初恋は、忘れられない一言のせいで苦い思い出になっていた。その言葉は今でも千夏の胸にしこりのように残ったままだ。だが、初恋の相手である川柳光輝と再会した千夏は、再び自分の胸が踊り出すのを感じ、その想いを小説に綴っていくことにする。一方、母の昭子も、職場に赴任してきた木村基晴に興味を惹かれはじめていた。親子ふたりして恋がはじまる予感に浮き足立つある日、昭子は千夏の部屋で“乳がん検診の再検査”の通知を見つけてしまう…。
まつむらしんご