育児放棄の⺟親の下、過酷な環境で過ごしている少年ヤジッドにとって唯⼀の楽しみは、フォスターファミリー(里親)の家で、団欒しながら⾷べる⼿作りのスイーツ。いつしか⾃らが最⾼のパティシエになることを夢みるようになっていた。やがて、児童養護施設で暮らしはじめたヤジッドは、敷居の⾼いパリの⾼級レストランに、機転を効かせた作戦で、⾒習いとして雇ってもらうチャンスを10 代で掴み取る。毎⽇180キロ離れた⽥舎町エペルネからパリへ⻑距離通勤し、時に野宿をしながらも必死に学び続け、活躍の場を広げていく。偉⼤なパティシエたちに従事し、厳しくも愛のある先輩や⼼を許せる親友に囲まれ、夢に向かって充実した⽇々を過ごすヤジッド。ところがそんな彼に嫉妬する同僚の策略で、突然仕事を失うことに。失意のどん底から持ち前の情熱でパティスリー世界選⼿権への切符をようやく⼿に⼊れるが…。
セバスチャン・テュラール