東京で働く咲子(松嶋菜々子)は、故郷の徳島で一人暮らす母・龍子(宮本信子)が入院したと聞き、久しぶりに帰郷するが、母が末期ガンだと知らされ愕然とする。身勝手で父のことを決して語らない母に、寂しさとわだかまりを抱えてきた咲子だが、母を看病する中で、医師・寺澤(大沢たかお)と出会い、自分を温かく包んでくれる彼に自然と惹かれていく…。残された時間の中で咲子は、寺澤に背中を押されるように、今まで知らなかった母の人生を知っていく。会ったことのない父のこと、母と父の切なく苦しい恋を。やがて、母の死期が近いと悟った咲子は、母が父と果たせなかったある願いを叶えるために、母を熱狂の阿波おどりへ連れ出す…。
犬童一心