新聞社に勤める順一(小林政広)は、数年前に妻をがんで亡くし、東京湾岸の高層マンションで娘と二人暮らしの生活を送っていた。そんなある日、事件が起こった。娘が学校の教室で、同級生の女の子に刺し殺されたのだ。妻も娘も失い、生きる希望を失った順一は、仕事を辞め、鉄工所での職を得て、北海道にある民宿でひっそりと暮らし始める。そして彼は、その民宿で賄いの仕事をするひとりの女と出会う。この女性こそが、順一の娘を殺した子の母親、典子(渡辺真起子)だった。互いに名乗ることもせず、言葉を交わすこともない2人だったが、やがて順一にとって、原罪を背負ったかのように生きる典子が、次第にかけがえのない存在になっていく――。
小林政広