30年前のノルマンディーで撮影された、19世紀に実際に起きた農家の青年による衝撃的な家族殺しを題材にしたルネ・アリオ監督作品『私 ピエール・リヴィエールは母と妹と弟を殺害した』。ニコラ・フィリベールは助監督として重要な仕事、キャスティングを任された。監督の試みとして、主要な役を事件が起きた村の農民たちに演じてもらう――。それから30年が経過し、再びノルマンディーへと戻った彼は、その映画にその映画に出演した人々を訪ねる――。2007年、カンヌ国際映画祭特別招待作品。
被写体に寄り添ってその内面をじっくりと映し出す、現代最高のドキュメンタリー作家の一人、ニコラ・フィリベール。銀座テアトルシネマでは、“ニコラ・フィリベールのまなざし〜正しき距離”と称して同監督の過去の作品の数々を上映中。さらに、2月2日(土)からは日本初公開となる1994年の『動物、動物たち』が、2月9日(土)からは最新作『かつて、ノルマンディーで』(写真右下)が公開される。『かつて、ノルマンディーで』は、30年以上前にフィリベール監督自身が助監督として参加した『私 ピエール・リヴィエールは母と妹と弟を殺害した』の出演者たちの足跡を追う、いわば監督自身の映画の原点をたどる作品。本作について監督に話を聞いた。