日本国憲法に「男女平等」を書いた女性、ベアテ・シロタ・ゴードン。彼女の父、レオ・シロタは17年にわたり日本のピアニストを育てた世界的なピアニストである。だが、政治犯として消息を絶った伯父のヴィクトル、音楽プロデューサーとして活躍するもアウシュビッツに送られた叔父のピエール、そしてノルマンディで戦死した従兄弟のイゴールなど、シロタ一家は戦争と迫害の20世紀の縮図のような運命をたどってきた。彼らの人生の記録とともに、ベアテ氏による平和への思いが今、語られる。
藤原智子