“ツナグ”とは、生きている人が会いたいと望む、すでに死んでしまった人との面会を仲介する使者を表す言葉。「金ならある」と横柄な態度で亡き母親に会うことを希望する中年男性・畠田。自転車事故で死んでしまった親友に聞きたいことがある女子高生・嵐。突然失踪した恋人・キラリの安否を確かめたいサラリーマン・土谷。歩美は、実は“ツナグ”を祖母のアイ子から引き継ぐ見習いで、その過程で様々な疑問を抱く。会いたかった死者に会うことで、生きている人たちの人生は変わるのだろうか? そして死者は? その疑問は、自身の両親の不可解な死の真相へも向けられていく――。
平川雄一朗