カメラは、原発事故の被災者が暮らす町へと赴く先生を映し出します。先生には戦後65年にわたり広島・長崎の生存者を診療し続けてきたという治療体験があります。内部被曝の危険性は、核所有国の政府当局者達によって隠蔽されてきたのです。最後の力を振り絞り、愚かな選択と歴史から何も学ぼうとしない体制に向けて警鐘を鳴らし続けています。そして、肥田先生の足は沖縄にも向かいます。日本に原爆を投下した米軍や日本に民間用原子力産業を導入したアメリカに対して、ハッキリとノーと言います。先生が願ってやまない、平和で核のない新しい日本の到来に向けて…。
山本顕一