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「胸が苦しくなった」 蒼井優が明かす“いけちゃん”と“ぼく”をつなぐ心の会話

懐かしくて、美しくて、儚くて、時に残酷で…。誰もが体験するのに、誰もが大人になるにつれて忘れていってしまう子供時代の様々な思い。西原理恵子の絵本を原作に、そんな少年時代の瑞々しい瞬間を切り取った珠玉の物語『いけちゃんとぼく』がまもなく公開を迎える。いつの頃からか、主人公の少年・ヨシオのそばにいて、彼にだけ見ることができる“いけちゃん”。色も大きさも変幻自在、ヨシオと一緒に笑い、怒り、そして、優しく彼の成長を見守るこの不思議ないけちゃんの声を表現力豊かに演じたのは、蒼井優。映画の公開を前に、蒼井さんのロングインタビューをお届け! いけちゃんに込めた強い思いと深い愛の裏にあるものは——?

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『いけちゃんとぼく』 蒼井優 -(C) 2009 「いけちゃんとぼく」製作委員会
『いけちゃんとぼく』 蒼井優 -(C) 2009 「いけちゃんとぼく」製作委員会
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  • 『いけちゃんとぼく』 -(C) 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会
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懐かしくて、美しくて、儚くて、時に残酷で…。誰もが体験するのに、誰もが大人になるにつれて忘れていってしまう子供時代の様々な思い。西原理恵子の絵本を原作に、そんな少年時代の瑞々しい瞬間を切り取った珠玉の物語『いけちゃんとぼく』がまもなく公開を迎える。いつの頃からか、主人公の少年・ヨシオのそばにいて、彼にだけ見ることができる“いけちゃん”。色も大きさも変幻自在、ヨシオと一緒に笑い、怒り、そして、優しく彼の成長を見守るこの不思議ないけちゃんの声を表現力豊かに演じたのは、蒼井優。映画の公開を前に、蒼井さんのロングインタビューをお届け! いけちゃんに込めた強い思いと深い愛の裏にあるものは——?

「目で読んで楽しい言葉でした」

『鉄コン筋クリート』のシロ役が各方面で絶賛されるなど、蒼井さんにとって、声優の仕事は今回が初めてではない。にもかかわらず、本作のオファーを受けたときに彼女が感じたのは“驚き”だったという。
「キャラクター的なものの声を演じるのは初めてなんです。まず最初は、自分が演じるキャラクター“いけちゃん”のビジュアルにも驚きました。いままで、少年とか少女とか、自分と年齢は違っていても人の役でしたが、今回は人と言えば人ですが、最初の出だしはよくわからない物体なので、これに声をあてるのかと思ったし、実写映画になるということにもすごく驚きました。面白い試みをされるんだなと思って。その中でいけちゃんという大事な登場人物を私に任せてくださったってことは、すごい光栄なことだし嬉しいから、すぐにやりたい! と思いました」。

映画の脚本を読んだとき、何より蒼井さんの心を捉えたのは、西原さんの原作を活かした独特の言葉による表現だった。
「言葉が活字的だなと。西原さんの言葉から使われていたところがあったので、目で読んで楽しい言葉でした。『いまの子供たちが普段使わないんじゃないかな?』っていうような言葉も書かれていたので、みんなこれをどういう風にやるんだろうって、それも楽しみでした。子供たちが、面白い言葉をしゃべっていることが、この作品にとってすごく面白い引っかかりを作ってくれて、原作を読んだときに話もすごく面白いし、『いけちゃんとぼく』という世界って西原さんの書く絵と文字とストーリーという3つのどれが欠けてもいけないんだなって気がしました。これを実写化するときに、まず文字とビジュアルが消えてしまって、ストーリーしか残らない。この2つを補うには、何に変換させるのかなと思っていたんですけど、きっと監督はそこの部分で、面白い言葉を子供たちにしゃべらせたのかなって気がして、すごく面白かったです」。

いままでに経験したことのない“2つの距離感”

オフラインを繰り返し見て、いけちゃんを作り上げていったという蒼井さん。役作りをする中で自分の中に聞こえてきたいけちゃんの声とはどのようなものだったのだろうか?
「やわらかい声でした。でも、自分が実際にこの声を出せているか分からないから不安でした。声の変化にはとても気をつけました」。

蒼井さんはさらに、いけちゃんとヨシオの間に存在する“距離”について触れつつ、観る者の胸を打たずにいられない、“2人”の別れのシーンへの思いをこう明かしてくれた。
「いけちゃんはヨシオにしか見えない存在だから、いけちゃんとヨシオの距離感で正しい声のボリュームで会話をするときと、ヨシオといけちゃんの距離は遠いけれど心の中で会話をしているときとか、そのバランスが難しかったですね。いけちゃんが空に帰っていくときは、本当ならあの距離だとあの声の大きさじゃ絶対に聞こえないはずなんだけど、そのときはいけちゃんとヨシオは心の中で繋がって会話が出来ているから…。それは私がいままでに経験したことがなかったことです。距離感が2つあって。こんな経験ができたこともとても面白かったですね。でも本当にあのシーンは胸が苦しくなります。ヨシオの叫び声も良いんです。思いのこもったセリフですよね。また、それをいけちゃんが言うから良いんですよね。あれが、人間と人間だったら…。私もよりいけちゃんを愛おしく思ったシーンでした。難しさについてはどのシーンも難しかったので、特にあのシーンが難しかったということではないけれど、やっぱり最後の言葉にいけちゃんの全部の思いが入らなきゃ! と思ったので、ほかのどのセリフよりも大事に扱った感覚はあります」。

では役から離れて、蒼井さん自身はいけちゃんとヨシオの関係をどのような思いで見ているのかというと…。
「西原理恵子さん曰く、男の子にはそういう物が見えて、女の子は現実主義だから男の子の方が目に見えないものと会話をしてることが多いとか。目に見えても見えなくても、ほかの人が入れない関係の2人がすごくいいなって思います。映画でもそういうことが描かれているものはやっぱり力をくれると思うから」。

「いけちゃんは原作が絵本でありながらラブストーリー」

実際、ヨシオの成長物語として、強い“母性”を感じさせると同時に、映画はラブストーリーとしての側面を見せてくれる。蒼井さんはうなずきつつ、さらにこう語る。
「『いけちゃん』は原作が絵本でありながらラブストーリーじゃないですか。恋愛ものが苦手でファンタジーものも苦手な私にとっては、こういう見せ方があったんだって、素直に素敵な話だなって思いました。恋愛を経験した女性の心に届くと思います。本当に素敵な恋愛、すごく深い愛を描いた作品だと思います」。

透明感あふれる蒼井さんの声と共に、打ち寄せる波のように静かに心に染み込んでくる愛をたっぷりと感じてほしい。

© 2009 「いけちゃんとぼく」製作委員会
《シネマカフェ編集部》

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