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『愛をつづる詩(うた)』サリー・ポッター監督来日インタビュー

『タンゴ・レッスン』や『耳に残るは君の歌声』などのサリー・ポッター監督が、また映画史に美しい一編を残した。名もない“彼女”と“彼”が、人種や文化の壁を乗り越えてロンドンからハバナ、ベイルートへとたどる映像叙事詩は、昨今の世界情勢に対してポッター監督の出したひとつの答えでもある。来日した監督に撮影エピソードを聞いた。

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『愛をつづる詩』サリー・ポッター監督
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『タンゴ・レッスン』や『耳に残るは君の歌声』などのサリー・ポッター監督が、また映画史に美しい一編を残した。名もない“彼女”と“彼”が、人種や文化の壁を乗り越えてロンドンからハバナ、ベイルートへとたどる映像叙事詩は、昨今の世界情勢に対してポッター監督の出したひとつの答えでもある。来日した監督に撮影エピソードを聞いた。

2人の愛と協力が文化や宗教の違いをも圧倒していくさまがポエティックな映像で綴られる本作。しかし撮影中にイラク侵略が始まり、ラストの舞台となるベイルートでは実際のロケができなかったという。「ブッシュ大統領の政策で、アメリカ人のジョーン・アレンはキューバに行けなくなってしまったのです。だからラストシーンはドミニカ共和国で撮影しました」。また、脚本の台詞は抒情詩人でもある監督が自ら手掛け、すべて韻を踏ませることで作品世界にリズムを生み出した。監督と脚本を兼ねることについて監督は、「どちらも面白い作業で、私にとってこの2つは切り離せません。どちらがより難しい作業かは日によって異なりますが、いずれにせよ作品をより良く見せるための努力だけが私の仕事です」と語った。

夫との冷めた結婚生活から情熱的な愛へと走っていく主人公“彼女”を演じたジョーン・アレンは、ジョン・マルコヴィッチらと創設したステッペン・ウルフ劇団のメンバーとして活躍し、近年では『ザ・コンテンダー』『きみに読む物語』などの映画にも出演している演技派である。

その相手役で自らの生まれに悩む“彼”役のサイモン・アブカリアンも舞台俳優出身で、映画ではアトム・エゴヤン監督の『アララトの聖母』などに出演している。「サイモンには以前にも私の『耳に残るは君の歌声』という作品で小さな役を演じてもらいました。彼は仕事としてではなく、生きる道として俳優をやっている人です。また、様々な国から集まったスタッフとの仕事はいろいろな人種やそれぞれの意見があって、ぶつかり合いがらもひとつの作品を作っていくという、まさにこの映画にぴったりの現場でした」。

監督自身はどんな観客にこの映画を観てほしいか? という質問には「もちろん、あらゆる人に観てもらいたいわ! この作品では特に男性からの反応に驚かされました」とコメント。「たった一人の親友に向けて映画を作ると、その親近感が多くの人にも伝わるのではないかと思っています。そのために私はたくさんの視点を内在させて脚本を書いています」と作品への思いを語った。

アーティスティックな雰囲気と少女のような愛らしさを持ち合わせたポッター監督。日本茶を飲みながら話す姿は優雅で、ティアードスカートにブーツのファッションも年齢を全く感じさせない。そんな監督の綴った愛の物語は、まるで詩を読むように観ることができるだろう。
《シネマカフェ編集部》
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