ファッション小噺vol.58 『リトル・チルドレン』の気になる眉毛

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『リトル・チルドレン』 サブ9
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顔の印象を大きく左右する眉毛。ビューティー業界では、眉のことを横文字で“アイブロウ”と呼ぶわけですが、アイブロウトリートメント専門のサロンまで登場し、一時話題となりました。もはや、眉毛をいじる(抜いたり、切ったり、書き足したりする)のは常識で、ぼうぼう気味の方(特にお年寄り)を見ると、「じょっきり切って差し上げたい!」とムズムズしてくる人もいるのではないでしょうか?

そんな人でも、“過去”はお持ちのはず。眉毛を派手にいじるという常識は、一般人にとってそれほど古い話ではありませんから、ちょっと古い写真を見れば、過去はしっかり刻みこまれていることでしょう。昔の写真を見ていて、なんだか古臭いと感じるのは、服装以上に、髪型以上に、お化粧以上に、しっかり主張している太眉だったりしませんか? バブルの頃に製作されたホイチョイ・プロダクション系の映画には、太眉毛の女性たちがぞろぞろ出演しています。ああいう昔の姿が、いつまでも人目にさらされてしまうのですから、女優さんたちも大変ですね。

さて、そんな太め全盛期を経て、ここ数年の流行は細め。でも、人類は、「眉毛なし」という流行を許さないのか、細くなると、再び太めに戻ってくるよう。小耳に挟んだ話では、これからはまた太め回帰なのだそうです。

時代の流行が反映される眉毛ですが、お洒落への意識が見え隠れするものでもあります。映画『リトル・チルドレン』では、ある女性の個性を表すひとつの要素として言及されていました。あまり外見に気を使わない主婦の描写として、切りそろえられていないぼうぼうの眉毛…というものが出てくるのです。そのシーンで、思わずドキッとしたりして。大丈夫だったっけ…。そう、女性にとってぼうぼうの眉毛は、人目を意識することなく「どうでもいい」と思っている証拠。ナチュラル派というよりは、野性派。ただ、『リトル・チルドレン』の面白いところは、眉毛ぼうぼうの女性をある意味で魅力的と捉えているところ。彼女に魅力を感じた妻子持ちの美青年は、美しく完璧な妻とは違う魅力を彼女に感じてしまうのです。

要は、眉毛が整っていても、人物に魅力がなければ意味がないということ。まあ、ぼうぼうでなくて、魅力もあるのがいいのでしょうが。いや、あえてぼうぼう好きもいるかも…。人間って一筋縄ではいかないものですからね。

眉毛の描写ひとつで、こんなにいろいろ考えさせる『リトル・チルドレン』。今年のアカデミー賞主要3部門にノミネートされた逸品で、細かい人間描写がいちいち鋭い。さすが、『イン・ザ・ベッドルーム』のトッド・フィールド監督作品だけのことはあります。それとも、原作者でもある脚本担当トム・ペロッタの手腕といいましょうか。

大人になれない大人たちの話ですから、思い当たるような、驚くような、ユニークな人物描写がわんさか。私は「眉毛」でしたが、あなたは別の描写で引き込まれるかもしれませんよ。

《text:June Makiguchi》

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