『ラスト、コーション』のワン・リーホン「演じているときは背中が痛かった(笑)」

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『ラスト、コーション』 ワン・リーホン photo:Yoshio Kumagai
  • 『ラスト、コーション』 ワン・リーホン photo:Yoshio Kumagai
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ミュージシャンとして活躍し、アジアで絶大な人気を誇るワン・リーホン。その一方で、『SPY_N』や『拳神/KENSHIN』などに出演、2003年にはGacktとHYDEの『MOON CHILD』で日本映画にも出演したことがある。そんな彼がアン・リー監督の『ラスト、コーション』で本格的に映画界へ進出した。

2006年のアカデミー賞を賑わせた『ブロークバック・マウンテン』だけではなく、『ハルク』『楽園をください』『アイス・ストーム』など、ハリウッドでの活躍も目立つアン・リー監督作品に出演した感想を聞くと「もう、たくさんの人に聞かれましたよ!」と笑う。
「いままでと違ってちょっとユニークなお答えをしますね。アン・リー監督という人は、すごく激しい人で、彼の精神というか、スピリットをすごく感じました。まるで彼の懐に抱かれてるような…。きっと、それを許せる人だけが、彼の中に入っていけるんですね。とても生き生きとした、いろんな面のある彼の世界に入っていけます。それに彼はとても博識ですから、学ぶことも多かったんです。映画製作についてはもちろんですが、僕自身、中国の歴史のこの部分(映画の舞台となる日本占領下の上海)はほとんど知らなかったので、そういったことも知ることができました。いま思い返してみると、それが最大の収穫だったと思います」。

しかし、すでに歌手として独自の世界を確立しているワン・リーホンにとって、他人に完全に身を委ねてしまうことに拒絶感はなかったのだろうか?
「いえ、逆にすごく開放された気分でした。普通だったら恐怖はあったと思います。実を言うと、これまで誰かに身を委ねたことはなかったんです。この世界に入ってから、いろいろなプロデューサーの方と一緒に仕事をしてきましたが、いまはプロデュースも自分でやっています。結局、誰のことも信用できなかったからなんですよね。でも、アン・リー監督だけは信頼できました。だからこそ僕はただのパフォーマーになることができたんです。音楽をやっているときは、僕はパフォーマンスをするだけでは終わらず、自分の批判もしなければならない。でも今回の映画ではモニターを見ることさえしませんでした。監督に全てお任せして、僕はただ演じるだけ。それですごく開放され、とても良い気分でした。僕にとって、パフォーマーとして彼のような監督と仕事ができるのは、すごく贅沢なことなんですよ」。

ワン・リーホンが演じたクァン・ミンという青年は過激な政治思想の持ち主。目の前に穏やかな表情で座っている本人からは感じられない激しさを持っている。
「クァンは本当に激しい人なので、演じているときはいつも背中が痛かったんです(笑)。僕自身プレッシャーを感じていたというのもありますが、多分、キャラクターから来ている痛みだったと思います。彼の情熱を物理的に感じてしまったんですね」。

それでもクァン・ミンを演じきったワン・リーホン。ミュージシャンである彼は演技の魅力について、音楽に関する経験を交えて語る。
「音楽は僕を違う世界に連れていってくれます。例えばバイオリンを何時間も何時間も弾いていると、漂う感じがして、それが好きなんですが、この映画に出演して、演技でも同じことができるんだと思いました。もしかしたらもっと激しい形で起きるかもしれません。でも、音楽の場合、疲れたときには楽器を置けば現実に戻るけど、演技の場合はそうはいきません。特にこの映画の場合、9か月の撮影期間中毎日でしたから。終わらないし、終わらせたくないという気持ちでした。新しい情熱が見つかったというか…。恋に落ちるには、変なものなんだけど(笑)。すごく大変で辛かったと言ったそばから、もう一回やりたいって言ってるようなものですね(笑)」。

では、今後も“俳優、ワン・リーホン”に会えるのだろうか?
「この映画をほかのものと比べることはできません。それだけ特別な経験だったし、これより良い映画を撮ろうと思っても、できないかもしれない。でも、トニー(・レオン)に『演技が好きなら、ひどい映画でも出ろ』、『演技を楽しめ』と言われました。これはとてもいいアドバイスだったと思います。アン・リー監督が、このような非常に野心的な、とても難しい作品を作ったことに、本当に賛辞を贈りたいです。アカデミー賞(『ブロークバック・マウンテン』で監督賞を受賞)を獲ったのだから、どんな映画も作れたはずだし、また大金持ちになることもできたのに、このような中国映画を撮ったことは素晴らしいことだと思います。また、この映画は彼にしか作れなかった映画、ほかの監督では作れなかった映画だと思います」。

《photo:Yoshio Kumagai》

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