『蛇にピアス』の吉高由里子「渋谷のスクランブル交差点に寝転びたくなりました」

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『蛇にピアス』 吉高由里子 photo:Yoshio Kumagai
  • 『蛇にピアス』 吉高由里子 photo:Yoshio Kumagai
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弱冠二十歳で芥川賞を受賞した金原ひとみのデビュー作を、72歳にしていまなお日本の演劇界を引っ張り続ける蜷川幸雄が映画化した『蛇にピアス』が9月20日(土)に公開を迎える。本作で刺青にボディピアスなど身体改造に魅せられ、2人の男の間をさまよう19歳の主人公・ルイを演じたのは吉高由里子。現在放映中のTVドラマ「太陽と海の教室」(フジテレビ)の屋嶋灯里役をはじめ、TV・映画で個性的な輝きを放つ彼女に、初の主演作となった本作について話を聞いた。

——原作、および脚本を読んで、ルイという役をどのように捉えたか聞かせてください。

普通の10代の女の子だと思いましたね。人込みが嫌いとか、光が当たらない場所に行きたいという願望を持つ時期って、実は誰にでもあることだと思います。自分の表現の仕方、気持ちを表すのがあまり上手くない、不器用な子なんだな、と。私自身との共通点で言うなら“痛み”を感じることで生きてる実感がわくという部分ですね。言葉の言い回しや行動については、同じ世代なのに私とは全く違うなと思いましたけど。

——蜷川さんと言うと“俳優に灰皿を投げつける”など怖いうわさが聞こえてきますが現場はいかがでしたか?

灰皿は飛んでこなかったですね(笑)。現場でも怖いという印象は全くなかったんですけど、すごくストイックで、高いものを求められているというのはひしひしと感じました。ただ、人生経験も仕事におけるキャリアも私とは比べものにならないのに、絶対に上から物を言うことがなく、物腰が低くて同じ目線で話をしてくれるんです。まずこちらの話をじっくり聞いた上で、「じゃあ、こうしようか」と言ってくれる、すごく大きな人ですね。それから蜷川さん、すごく若いんですよ! ご自分で「おれはドラキュラじじいだから」っておっしゃってましたが(笑)、確かにこっちがエネルギー吸われてしまいそうな感じでしたね。若い人からパワー吸い上げながら現場を引っ張っていってくださいました。

——灰皿は飛んでこなくても(笑)、「この恥知らずが!」という叱責が飛んできたとうかがいましたが?

それは高良さん(=アマ)と一緒に撮影したシーンです。セリフは入っていたんですが、2人の息が合わずに詰まってしまって、そしたら「そうなるなら、最初から打ち合わせなり掛け合いなりやっとけ!」って。アマの役って男の子が気恥ずかしいくらい自分の気持ちをむき出しにしないといけないんです。そこで高良さんに「自分のやりやすい芝居をするな! 楽な位置に行くな!」と。“恥知らず”というのは“恥ずかしくてもいい”、“恥を知りなさい”という意味だったんですね。

——渋谷のスクランブル交差点でのルイの表情がとても印象的でした。どのように撮影されたのか教えてください。

蜷川さんからの指示は「この信号が何秒で変わるから、ここでしゃがんでくれ」ということだけで、それ以外は自分で好きにしろ、と。私自身としては、しゃがんで、そのまま交差点で寝転びたいって思ったんです。でもよく考えたら、信号変わって車が来たらひかれちゃうし、そしたら原作と全く違う映画になっちゃいますからね(笑)。実は、あのシーンは撮影の最終日の、これでクランクアップという本当に最後のシーンだったんです。ふとふり返ってみて、あの時期、本当にいろんなことがあり過ぎて…。生きているのか死んでいるのか分からないような感覚の日々が続いたことを思い出したり、「これで終わりなんだな」という気持ちや「何もかもがなくなった」という思い。それから、原作に描かれている、白黒はっきりしない、グレーのモヤっとした感情。あのシーンには、あのときの私自身のリアルな気持ちが映し出されていると思います。

インタビューの最中、自身のキャリアについて「デビューから偶然と勢いで来ただけ。『女優です』と言うのがいまだに恥ずかしい。自分が何者なのか、模索している最中です」としきりに照れながら語っていた吉高さん。だが、本作を通じて否が応にも“女優”吉高由里子の名が一気に広まることは間違いない。今後、どのような自分を発見し、見せてくれるのか——。大いに期待したい。

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