「原作とは違うイメージにしたかった」阿部寛がいじめに悩む学生を支える『青い鳥』

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『青い鳥』阿部寛 photo:Yoshio Kumagai
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吃音の臨時教師・村内先生と同級生の自殺に揺れるクラスの生徒たちの交流を描いた『青い鳥』。「その日のまえに」や「きみの友だち」など著作の映画化が続いている作家・重松清の同名小説を原作に、いま問題になっている“いじめ”に真正面から取り組んだ本作で主人公の村内先生を演じた阿部寛に話を聞いた。

阿部さんが演じた村内先生は口数は少ないがゆえに一言一言に重みがある。
「セリフがない分、その存在の仕方というか、村内先生の在り方からヒシヒシと伝わる役だと思ったんです。村内先生は、ある種の障害のようなものを持ちながらも生徒の側にいて、彼らを支えていく役ですが、それはただ優しいだけじゃない。原作では、僕が演じた役よりももう少しソフトな感じだと思うんだけど、原作のイメージとちょっと違うものにしようと思いました。自分の身体という道具を使って、どう演じようかと思ったときに、少し怒りを入れようと思ったんです。それは生徒にぶつけるのではなく、もっと社会全体にぶつけていくというか、そのいじめという空気を作ってしまった体制や状況に対しての、何かしらの怒りみたいなものが、セリフはなくても存在として出てくればいいなという気持ちがありました」。

そんな村内先生を、阿部さんはこう評した。
「この先生はきっと裏切らないでしょうね。リーダーシップをとっていく先生とか、生徒から好かれる先生とか明るい先生っていると思うんだけど、村内先生は10年経っても20年経っても変わらず、当時のままでいてくれるような先生だと思ったんです。子供ってすごく繊細だから、多分そういうところを見抜くんですね。ただ生徒に好かれる先生というよりも、先生を信じている生徒の心の側にいてくれるような、そういうところはすごく好きです」。

そこで阿部さんの印象に残っている学生時代の先生について聞いてみた。
「中学2年のときの担任の先生だったんですけど、その頃ちょっといろいろあってグレかけた時期だったんです。その先生がすごく心配してくれて、毎朝、チラッと僕の顔を見るのが分かっていて(笑)。帰るときも、声をかけたそうにしていたんです。それである日、その先生に職員室に呼ばれました。僕のことをどう指導すればいいのか悩んで考えてくれているところが見えたんです。半泣きになっていて。だから『これはいかんな、甘ったれちゃいけないな』と思いました。その先生はすごく不器用で、目立つタイプの先生じゃなかったけど、僕はすごくその先生に助けられたし、すごく覚えてます。先生って、ひとりひとりにはそんなに時間かけていられないでしょ? でもその先生は、ひとりひとりの心に本当に入り込んできた。そういう先生の方が覚えてます。一生懸命だったなって」。

映画、ドラマ、舞台などで様々な場面で活躍している阿部さん。そこで、阿部さんが作品を作っていく上で最も大切にしていることを聞いてみた。
「自分で役というものを出来るだけ理解して、観てくださる方にどう伝えるかというよりも、何かが伝わってほしいなという思いがすごくあります。自分の最善のもので伝えられたらいいなと思って準備するんです。それは例えば、いろいろなものを見たりすることも大切だし、あとは監督とのコミュニケーション。監督がどの方向で考えていて、どう作ろうと思っているか、一緒の気持ちだと思っても半分くらいしか一致しないものなんです。でも同じ方向を見て、お互い良いプレッシャーを掛け合いながら、作品に真正面から向き合っていかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。変なパフォーマンスではなく、良い掛け合いをして最善のものを作っていきたいです。…空回りすることも多いんですけど(笑)」。

その確実な演技力でいろいろな作品で引っ張りだこの阿部さん。「これ、僕でいいの?」と思うオファーも多いそうだ。それは観る側にとっても意外に感じるキャスティングだったりする。しかし“最善のものを作っていきたい”というポリシーを聞いて満足。今後もきっと素晴らしい作品を作り続けてくれるだろう。

《photo:Yoshio Kumagai》

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