ペネロペ・クルスを新たな高みに導いた『エレジー』 イサベル・コイシェが描く恐怖

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『エレジー』 イサベル・コイシェ監督
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『死ぬまでにしたい10のこと』、『あなたになら言える秘密のこと』など登場人物の内面をじっくりと描く深みのある人間ドラマの名手として、日本でも高い人気を誇るイサベル・コイシェ監督。このたび公開を迎えた『エレジー』は、ピューリッツァー賞受賞作家、フィリップ・ロスの短編小説を原作に、一人の若き女性と親子ほども歳の離れた大学教授の恋愛が描かれる。本作について監督に話を聞いた。

ロスの原作小説は発売当初に読んでおり「初めに読んだとき、いつか誰かが映画化するだろうという気はしたけど、まさか自分になるとは思わなかった」とふり返ったが、今回、監督を引き受ける決め手となったのはペネロペ・クルスの存在だった。
「ロスの作品ということで原作と映画が比べられてしまうことは避けられません。最初にオファーを受けたときは、果たして自分がやるべきなのかと悩みました。そこにペネロペから電話があったんです。彼女は『あなたが監督を引き受けるなら、私もやるわ。あなたがやらないなら、私もNOよ』って。すごい責任を感じたけど、いまはやって良かったと思っています」。

そのペネロペは、本作で美しい肉体を惜しみなくカメラの前にさらしており、いかにコイシェ監督を信頼しているかがうかがえる。監督からはあるシーンについてこんなエピソードも。
「デヴィッド(ベン・キングズレー)が、コンスエラ(ペネロペ)の写真を撮るシーンでの彼女の演技…恐怖の表現は完璧そのものでした。美しく素晴らしい肉体と共に深い悲しみが漂っていて、周りのスタッフがその場で泣き出してしまったほどでした」。

一方で、65歳のベンが演じる大学教授のデヴィッドは、恋愛の責任や親としての責任から逃げ回りながら生きる男。自身や他人と誠実に向き合うコンスエラと比べて、何とも評し難い男であるが…。監督自身は彼にどのような思いを抱いているのだろうか?
「彼のことはすごくよく分かる気がするわ(笑)。彼の方が彼女よりもずっと年上なのに、自分が何を欲しているのか分かっていないし、大人になりきれていないのね。私は、この映画で彼の考えや行動をジャッジするつもりはありません。でも一つだけ言えるのは、彼が愛や恋愛を弱さだと勘違いしているということ。誰かに愛されることも、その愛を受け入れることもね。それは大きな間違いだと言えますね」。

さらに監督は、本作が描き出す最も大きなテーマの一つが男と女の持つ“恐怖”にあると語る。
「それはデヴィッドが持っている、年老いることや死に対する恐れ。それから妥協すること、愛すること、そして失うこと…この人物は様々な恐怖に怯えながら生きており、それがまさに彼が抱える問題なんです。逆にコンスエラはデヴィッドからその美しさや知性を常に「完璧」と称賛され続けてきたわけですが、彼女がそれを失ったときどうするか? そのときに彼女が噛みしめる恐怖を描いています」。

実は、今回のインタビューは新作の撮影の合間を縫って行われたもの。そう、監督の次回作は日本を舞台にしており、主演には菊地凛子を迎えるという。「監督として、俳優の演技に驚かされたいという気持ちが常にあります」とは監督の弁。いまから完成が待ち遠しいが、まずはペネロペを新たな高みへと導いた本作をたっぷりと堪能してほしい。
《text:cinemacafe.net》

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