見上げてごらん、広い空vol.1 フラミンゴに見る、壮大なライフサイクルのドラマ

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ディズニーネイチャー:フラミンゴに隠された地球の秘密 -(C) Disney Enterprises, Inc
  • ディズニーネイチャー:フラミンゴに隠された地球の秘密 -(C) Disney Enterprises, Inc
  • 『ディズニーネイチャー:フラミンゴに隠された地球の秘密』 -(C) Disney Enterprises, Inc.
  • 『AFRICAN CATS』 -(C) Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.
日本に暮らす多くの人にとって、この季節は一年で最も空を見上げる季節ではないですか? 「ああ、また降ってる」「ひと雨きそうだな」「今日は久々に晴天だ!」「もうすぐ梅雨明けかな…」など。しかも、来る7月22日(水)は、日本では46年ぶりとなる皆既日食が。ひと際、空を見上げる機会が増えそうです。

さて、空といえば鳥。この鳥にフォーカスし、なおかつ、知られざる地球、自然のミステリーに思いを馳せた素敵な作品が登場しました。『ディズニーネイチャー/フランミンゴに隠された地球の秘密』は、生き物と自然の不思議、神秘に満ちたドラマを、世界最高のフィルムメーカーによって映画化する自然ドキュメンタリーの新レーベル、ディズニーネイチャーの第一弾。生前、ウォルト・ディズニーが自然のドラマに魅了され、多くの自然ドキュメンタリー映画を熱心に製作していたことから、その精神を継承するレーベルが誕生することになったのです。後押しのきっかけとなったのが、大ヒット映画『皇帝ペンギン』の共同製作。あちらの“鳥映画”は白の世界でしたが、今回のフラミンゴ界は赤の世界です。

壮大な生命の物語は、まずフラミンゴの赤の秘密からスタートします。フランミンゴの赤は、エサである藻類や動物プランクトンに含まれるカロチンによるそう。アフリカのリフト・バレーにあるナトロン湖は、ソーダ塩の強い毒性を持ち、ほとんどの生き物が生息できない湖。ところが、毎年数週間、雨が降る季節になると、水中の微生物が繁殖。この湖特有の赤とオレンジ色の湖に姿を変え、まるで炎の湖のようになるのです。

すると、本能で機を悟ったフラミンゴたちが数百キロ、数千キロの道のりを繁殖のために飛来。その数およそ10万羽。圧巻です。ただし、そのときの羽や体は、お世辞にも綺麗と言えないうす茶けた色。この時期だけ育つプランクトンの色素を取り込んで、紅い美しい色に染まっていくのです(動物園のフランミンゴは、色素の入ったエサを食べているそうですよ)。その変身を待っていたかのように行われるのが、求愛ダンス。フラメンコの語源となったという彼らの優雅なダンスで、これをきっかけにカップルが一組、また一組と生まれ、新しい命を生み、育み、そして死んでいくのです。

炎の湖に飛来し、そこで紅く姿を変え、子を産み育てる。そんなフラミンゴが、フェニックス伝説のモデルとなったとされていることをご存知ですか? 永遠の命を持つとされるフェニックスは、燃える火の中に自ら飛び込んで灰となり、そこから甦るとされています。ちょうど、手塚治虫の「火の鳥」を読み返していたところだったので、なるほどことごとく符合するなと関心。手塚作品では、その血を飲んだ者はやはり永遠の命を得るとされていますが、実はそれにも由来が。親が雛に与える“フランミンゴミルク”は、親がエサを租借し吐き出す際に、喉の奥の組織が剥がれるため、それはそれは鮮やかな血の色をしています。まるで自らの血を絞るようにして、口移しで雛に真っ赤なミルクを与える姿は感動的。無表情だと思っていた鳥たちから、これほど豊かな表情を読み取れたのは、制作者たちの丁寧な取材の賜物です。

美しい景色、華麗な鳥の生、雛たちの愛らしさ、そして天敵の衝撃的な攻撃シーンも含めて、地球、自然の壮大なドラマを見せてくれるこのドキュメンタリー。喜び、悲しみ、悔しさ、絶望、希望…など、生きていると感じる様々な思いが、1時間19分の間にぎゅっと凝縮された感じ。それを優しく促してくれるのが、ポエティックな映像と音楽。ただ真実を記録し提示するのではなく、真実の中にある生と死、誕生と再生というライフサイクルをストーリーとしてまとめ、観る者にその尊厳をしっかりと気づかせてくれるフィルムメーカーたちに拍手したい気分。もともと動物映画好きの私ですが、期待以上の美しさとドラマに、感激し涙してしまいました。

日本の空を見上げてもフラミンゴは見えませんが、雀やカラスにだって、彼らなりの生と死、誕生と再生というライフサイクルのドラマがひっそりとではあっても存在するはず。本作を通して、そんなことに気づくようになれば、いつもより、もっと空を見上げたくなるはずですよ。

《text:June Makiguchi》

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