阿部サダヲが新たに見せる“父”の顔「自分の子供にも冒険させてやりたいと思った」

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『ぼくとママの黄色い自転車』 阿部サダヲ photo:HIRAROCK
  • 『ぼくとママの黄色い自転車』 阿部サダヲ photo:HIRAROCK
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  • 『ぼくとママの黄色い自転車』 阿部サダヲ photo:HIRAROCK
  • 父親役で新境地を開拓 photo:HIRAROCK
  • つらい中でも明るさのある日常を表現 photo:HIRAROCK
  • 外で育まれる子供の成長に共感 photo:HIRAROCK
  • 子供の頃は野球に明け暮れた photo:HIRAROCK
あるときはパンクコントバンド「グループ魂」のフロントマン“破壊”として、またあるときは個性派俳優として舞台上、スクリーンを、俊足と超ハイテンションで所狭しと駆け巡り、異彩を放つ阿部サダヲ。天性のコメディアンとも言うべき彼が、どの作品でも見せてこなかった顔とは——? 現在、39歳。“不惑”と言われる40歳を目前にして、『ぼくとママの黄色い自転車』で、父親役という新境地に挑んだ彼に話を聞いた。

「明るく淡々とした、愛情表現に心打たれた」

これまで見せてきた、“飛び抜けた”役とは一線を画す今回の役。いたって普通の父親を演じたが、オファーを受けたとき、阿部さんは素直に「うれしかった」と話す。
「みなさんの印象として、阿部サダヲという俳優は“突き抜けてる”と思われてることが多いと思うのですが、こういう役もやりたかったし、普段からテンションがずっと高いように思われたりするので(笑)。俳優として、だんだん年を取ってきて、子供がいる役や家族の話もやりたいと思ってた時期だったので、うれしかったですね」。

記憶を失う病を患い離れて暮らす妻と、その理由を知らない幼い息子の間で苦悩しながらも明るくふるまう父親、一志。演じる上で気をつけた点は?
「子供のことはちゃんと考えてる父親なんですけど、表向きは普通に見えるようにつらい部分はあまり出さないようにしてました。撮影に入る前に、記憶障害の方のドキュメントを見たときに、明るく淡々と生活をしている、(記憶を)忘れているということを笑いとばしてしまうくらいの明るさ、その愛情表現に胸を打たれて、そういう所が出せたらという気持ちで演じました」。

今回、阿部さんと夫婦を演じるのは、鈴木京香。一見、異色の組み合わせとも思えるのだが、阿部さんはそのアンバランスさを敢えて前面に出していった。
「見た目的に、京香さんと僕のアンバランスさがうまい具合に出せればいいかなとは思ってました。この人間にこの綺麗な女性が惹かれたワケというのを、何となく納得してもらいたいなって。お客さんが観て、何でこいつ? っていうよりは、しょうがないなという感じに思ってもらえたらと。完璧な人じゃない方がいい気がして、ちょっと抜けた感じにしたいなと思いました。上から物が落ちてきて頭にぶつかるとか、パンに醤油かけちゃうとか、そういうところでちょっとずつ出していけたかなと思います」。

息子・大志に扮する天才子役、武井証は奇しくも自身のお子さんと同年代という。撮影が行われたのはちょうど1年前、真夏の小豆島。武井さんとの撮影での思い出について尋ねると、頬をゆるませた。
「こんな子供がいたらいいなと思いますけど、本当にしっかりしてるんですよ、武井くん(笑)。相当暑かったと思うんですけど、文句も言わないですし、犬(愛犬アン役)も文句を言わないですし、ただ頭が下がる思いです。かわいい一面もあるんですけどね。証くんが自動販売機でジュースを買おうとして、お金を入れたら出てこなくなっちゃって、みんなして悔しくなっちゃってね。何とかしたくなって業者さんを呼ぶまでになったんです。僕が120円出そうか? と言ってもそれは出来ないと言う男ですから、かっこいいです」。

夏の冒険を通して育まれる子供の“成長”に共感

母親に会うため、ひとり自転車で、犬を供に横浜からはるか500キロ先の小豆島へと旅に出る、息子の大志。親の知らないところで育まれる、子供の成長というのも、本作のひとつのテーマである。“かわいい子には旅をさせよ”と言うが、阿部さんも自身のお子さんについて近頃、変化を感じているという。
「9歳になってどんどん成長していく感じがしますね。家の中より外で教わってくることが増えるじゃないですか。習い事だったり、遊んできたりして、自分の家にずっといた人が外に出ていってすごい勢いで成長してくるのでびっくりします。でも、映画(の大志)みたいに関西の人と喋って変わったり、家族以外の人と接するのはいいことだと思うので、自分の子供にも冒険させてやりたいなと思いましたね。僕も小学生のとき、学校に『ガキ大将行進曲』という映画が来て、それを観てすっげーかっこいいなと思って山を登ったりしてすごくいい経験になったので、大志くんと同じくらいの子にも、冒険に憧れてほしい。外で家族で一緒にいてもずっとゲームばかりやってるのとかを見るとゾクっとするんですよね。ゲームを1時間やってもいいけど、1時間は外で自転車を漕いでほしいですね」。

ちなみに、阿部さんが子供の頃の夏休みの“冒険”の思い出はというと…?
「いま思うと、野球ばっかりやってたので、一人で冒険に行ったりはなかったですけど、夏休みにトラックの荷台に勝手に乗ってどこまで行けるか、というのはやったことがありました。でも、2個目の信号で怖くなって降りました(笑)。大人になってからは、道に迷うのが好きなので、よく知らない道を歩きます。すごい小さい冒険ですけど、行ったことのない所で、散歩ばっかりしてますね」。

本作について「家族で観て、一緒に話し合える映画」と語る阿部さん。「犬を飼おうか話し合うこともできるでしょうし、犬を飼ってほしいんですよね。動物を飼うのはいいと思うので、この映画も家族会議をするのにちょうどいいんじゃないかと。と言いながらうちは猫を飼ってるんですが(笑)」。

“阿部サダヲ”の代名詞とも言うべきハチキレぶりとは裏腹に、とても穏やかな笑顔を浮かべて言葉を連ねる阿部さん。これまでに見せたことのない、彼の新たな顔を本作では発見することができる。

《photo:Hirarock》

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