ジャームッシュ流“異色”殺し屋&豪華案内人が絶妙『リミッツ・オブ・コントロール』

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『リミッツ・オブ・コントロール』 -(C) 2008 PointBlank Films Inc. All Rights Reserved.
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鬼才ジム・ジャームッシュの監督最新作は、スペインを舞台にした、いわくありげな不可思議世界を突きつけるロードムービー。「自分こそが最も偉大だと思っている男を墓場に送れ」。そんな指令を受け取った男が、スペインを巡り、行く先々で謎の暗号を受け取りながら、目指すターゲットへと迫っていく。

まず、ジャームッシュ作品4度目となるイザック・ド・バンコレ演じる主人公の寡黙なキャラクターが目を引く。登場シーンでは、いきなり空港のトイレで太極拳をし、精神統一! 以降もただただストイックに任務遂行を念頭に置き、携帯電話なし、銃なし、たとえセクシー美女が全裸でぺろんと横たわり、迫ってきてもセックスなしの殺し屋生活を黙々と繰り広げていく。さらに、カフェでは2杯のエスプレッソを注文するのが彼のお約束。

いわくありげな不可思議世界とは言ったものの、ストーリーラインは至ってシンプル。もちろん、いわくはあるし、不可思議ではあるが、ジャームッシュならではのクスリと笑えるユーモアをのんびりゆるゆるとはらみながら、意外なほど実直に任務の全うを待ちわびるカメラの眼差しが独特だ。ノー・セックス、ノー・バイオレンスの“異色”殺し屋がアートに傾倒し、それらに触れたときのみ表情を崩す一方、彼の前に現れる道先案内人たちは映画や音楽、科学についてとうとうと熱弁。このあたりからは映画人たるジャームッシュの姿勢を慮ることもできるが、ティルダ・スウィントン、ガエル・ガルシア・ベルナルから工藤夕貴まで、豪華な道先案内人たちの妙演を味わうだけでも楽しい。

そして、あるコードネームを背負ったビル・マーレイ登場のクライマックス。殺し屋も私たちも、「無に等しい」と作中で繰り返し強調されてきた世界が開けるのを感じる。これはジャームッシュ流の感動作でもあるのだ。

《text:Hikaru Watanabe》

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