『人間失格』荒戸監督インタビュー 「生田斗真?50年に一人だね、モノが違うのさ」

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『人間失格』 荒戸源次郎監督
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太宰治の分身とも言われる主人公・葉蔵のごとく、この人も相当、歪んでる。いや、正しくは還暦をとっくに過ぎて、なお尖がっている。太宰の生誕から1世紀と1年目に公開される『人間失格』の監督・荒戸源次郎のことである。何せこちらが「太宰への思い入れ」なんて聞こうものなら「そんなのないよ。小説と映画は違うしね(笑)」と言い放ち、「そもそも私に感情移入なんてないからね(笑)。客観ですよ、客観」と言い切る。でも、その眼差し、そして俳優たちについて語る口調は不思議と温かい。さて、何をどこまで話してくれるのか? 荒戸監督に話を聞いてみた。

「原作は読み込むな」——。これは主演の生田斗真に監督が与えた唯一のアドバイス。監督は原作をどう捉え、映画化したのか?
「巧妙に構築された小説で、一人称の文体がとにかく曲者だね(笑)。小説と映画の虚実は異なるから、原作をそのまま映画にしても成立しないんです。例えば、書き言葉をセリフにしても会話にならない。今回、“太宰語”をだいぶ翻訳しました(笑)。楽しく難儀したよ(苦笑)。映画は光と陰。何に光を当てて何を陰にするか? 時代設定で言えば、葉蔵が不忍池で絵を描いているシーンが昭和11年。その2か月くらい前には『二・二六事件』があって、数か月後には『阿部定事件』が起こる。その前年には総理大臣が3人替わっている。これはいまの時代とどこかよく似ているでしょう(笑)? そこから5年間を野球で言うところの“フェアゾーン”、光を当てるところだと考えて映画にしたよ」。

先述の通り、「原作に思い入れなんてない」、「撮った理由は(太宰の)生誕100年だから!」など、嘘かマコトか? 取り付くシマもない答えを(しかし楽しそうに!)返す監督だが、俳優陣の話になると少しだけ多弁に。そもそも「原作を読むな」が“唯一の”アドバイスだったということは、生田さんにほぼ自由にやらせたということ?
「言わなきゃしょうがない俳優さんには言いますが、出来る俳優さんに余計なこと言って邪魔してもしょうがないでしょ? 斗真は出来ますからね。それに最初から、原作の枠にハメる気は毛頭ありませんでした。原作の葉蔵はイノセントと道化の二面がある。斗真を活かすために、映画版の『人間失格』はああなった」。

では改めて俳優・生田斗真の魅力は?
「キレイでしょ? そして芝居がうまい。言うことないよ。役を演るときに“自分”と“役柄”の性根を誰よりストイックに、真っ直ぐ考えることが出来る…俳優として知的なんだな。考えたこと感じたことをカメラの前で体現できる。モノが違いますね。彼は50年に一人の映画俳優ですよ。フィルムは1秒間にたった24コマ。斗真はその隙間からこぼれる魅力を観客に感じさせる。スターです」。

そして、“斗真=葉蔵”の何とも言えぬ美しさと歪みに絡みとられ、一緒に堕ちてゆく女たち。中でも、寂しさを抱え、彼と最初に心中を図り、あろうことかたった一人死んでいく常子の存在は監督が「第一のヤマ」と認めた大きなもの。演じたのは、荒戸監督に“映画賞30冠”をもたらした『赤目四十八瀧心中未遂』で強烈な印象を放った寺島しのぶ。
「常子は、しのぶさん以外考えられませんでした。とても信頼している女優さんですし。出演をお願いしたときはこう言ったんです。『赤目』のときは“心中未遂”だったけど、今度はちゃんと死なせてあげるよ! って(笑)」。

では、葉蔵を“悪の道”へと誘い込みつつ、自らは堕ちることなく、どこか冷静な悪友の堀木(伊勢谷友介)、そして原作には登場しない詩人の中原中也(森田剛)の存在は?
「2人ともある種“メフィストフェレス(人間を悪徳へと導く悪魔)”だわな。堀木は、葉蔵の“甘さ”に対して“辛さ”を出したかったから、苦み走った伊勢谷くんは適役でした。伊勢谷くんは存分に演じてくれたんじゃないかな。何より見た目がいいよね。堀木よりも幼児性が強くて、悪魔と天使の二面性を持っているのが中也だね。森田剛くんは、斗真とは違った意味の天才型。斗真が考えて演じるとしたら、森田くんは瞬間的に役柄の性根を掴むんだ。『こんな表情ができたのか!』と驚かされたことが何度もありました。自意識じゃなく無意識過剰とでも言うのかね(笑)」

とまあ、次から次へと俳優陣に対する感想、感嘆の言葉が…。この監督の言葉を念頭にそれぞれの俳優陣の動きや表情を追っていくだけでも、映画が楽しめることは請け合い! 「女のひとのことは分かりませんし、分かったふりもしない」と語る監督が描く男たち、女たちの物語『人間失格』をとくと味わってほしい。

映画『人間失格』荒戸源次郎監督が語る、主人公・葉蔵を取り巻く女たち 寺島しのぶ(常子)編

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《text:cinemacafe.net》

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