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長谷川博己&臼田あさ美 ドラマ「鈴木先生」平均視聴率2.16%も「気にしてなかった」

称賛を込めて“問題作”と言いたくなる作品である。武富健治の同名漫画を原作に連続ドラマ化された「鈴木先生」。公立中学を舞台に…

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『映画 鈴木先生』長谷川博己&臼田あさ美/Photo:Naoki Kurozu
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  • 『映画 鈴木先生』長谷川博己/Photo:Naoki Kurozu
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  • 『映画 鈴木先生』臼田あさ美/Photo:Naoki Kurozu
  • 『映画 鈴木先生』臼田あさ美/Photo:Naoki Kurozu
称賛を込めて“問題作”と言いたくなる作品である。武富健治の同名コミックを原作に連続ドラマ化された「鈴木先生」。公立中学を舞台に、給食の献立から中学生の性行為や避妊の是非に至るまでディープな問題に深く切り込む衝撃的な内容の一方で、視聴率という点では2001年以降のゴールデンタイムの連ドラとして最低平均視聴率を記録。だが、その高いクオリティを支持する熱烈な声も多く、結果的に最低平均視聴率作品がギャラクシー賞テレビ部門優秀賞、日本民間放送連盟賞のテレビドラマ番組部門最優秀賞などの栄誉に輝くという何とも不思議な現象をもたらした。そんな“常識破り”の道をさらに突き進むべくこのほど本作が映画化! 公開を控え、主人公・鈴木先生を演じる長谷川博己、ドラマで彼と結ばれた妻の麻美役の臼田あさ美が改めて『映画 鈴木先生』という作品が持つ奇妙な魅力について語ってくれた。

まずはズバリ、視聴率について。高視聴率ドラマの映画化が邦画界の大きな流れの一つとなっている昨今、平均視聴率2.16%のドラマが映画化されるというのはまさに異例のこと。そもそも放送中にも、口さがないマスコミからはその低調ぶりを揶揄する声も聞こえてきた。長谷川さんは一昨年の最高平均視聴率作品の「家政婦のミタ」にも出演しているが、演じる側として視聴率をめぐる喧噪をどのように捉えていたのだろうか?

「僕は舞台出身なので、視聴率って気にしたことがなかったんですよ。TVの世界に入って主演を張ることになって、やっぱり視聴率というのは背負わないといけない問題なんだなと初めて感じたんですが、その初っ端がこんなに低くて…(苦笑)。でも、自分の中では(数字を)意識しないといけない部分もあると思いつつも、正直『まあ、そういうもんだろ』と気にしてなかったです。そう思ってたら、今度は『家政婦のミタ』であんな高い数字になって、不思議なもんですね(笑)。ただ、僕らはそれを気にするよりも本当に面白いと思えることをやればそれでいいんじゃないかと思うし、こっちが計算して演じて返ってくるものじゃないですからね」。

映画化に関しては視聴率うんぬん以前に作品の内容、そして原作の残りの分量からも放送前からある種の“確信”を抱いていた。

「映画化というか、形はどうであれ続きはあるんじゃないかと思っていました。ただ数字が下がってるということで『これは無理だろう』という雰囲気になっているのは感じてましたし、ドラマの打ち上げのときも『これでもうみんなと会うことはないだろう』って感じでしたね。それでも、僕はどこかで絶対やれるはずだとも思ってました。僕の周りで明らかにいろんな人が見てくれていたし、僕が信頼している普段はすごく厳しい批評をする人たちが『こんなに面白いドラマはない』って言ってくれていた。『何でそれで3%もいかないんだよ!』と思いつつ(笑)、何か(続編が)あるだろうって。だから、こうして映画化になって報われた思いですね」。

臼田さんもまた、数字に動じることなく、放送回数を重ねるごとに作品の質の高さに自信を持ち、手応えを感じていた。

「もちろん、多くの人が見てくれたら嬉しいし、見てる人が少ないならより多くの人にという思いはあります。でも視聴率って役者が気にしなくても良いと思うんですよ。自分のやること、やれることは変わらない。私自身、映画にしろ音楽や小説にしろどちらかと言うと、少数派の作品を好きになることが多いんですよ。逆にこの作品も自分の好きな作品に位置づけられました。100人の人に1%ずつ愛してもらうよりも、2人の人が50%ずつ愛を注いでくれた方が私は嬉しいし、実際に放送中も周りの反応からその愛情の濃さを実感できてたんです。だから本当に全くと言っていいほど(視聴率は)気にしてませんでした」。

演じている2人がここまで自信を持って「面白い!」と言えるこの作品の魅力はどこにあるのか? 現代社会の問題を個性的なキャラクターとデザインで描いている原作漫画の力が大きいのはもちろんだが、長谷川さんと臼田さんは全11巻におよぶ原作を10話のドラマと映画に凝縮させた脚本の凄まじさを強調する。脚本を手がけたのは『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズに『キサラギ』、「相棒」シリーズ、「外事警察」、「リーガル・ハイ」などを世に送り出した人気脚本家・古沢良太。長谷川さんは古沢さんを「現代を代表する素晴らしい作家」と絶賛する。

「まず構成力がすごいですよね。いろんなところに伏線が張ってあるし、軽快さと深さのバランスがいい。今回の映画もあれだけの分量があって、どれも面白いから省略されたら嫌だなと思ってたけど、古沢さんは原作漫画の伝えたいことをしっかりと散りばめてくれている。映画の中で(鈴木先生が同僚とたむろする)喫煙所の存在に重点を置いていて、それを(映画の論点である)“グレーゾーン”のエピソードと結びつけたり、生徒会選挙と立てこもり事件を絡めたり、全てのエピソードに共通性を持たせてる。あれを2時間の映画で収めるって本当にすごいことだと思います」。

臼田さんも古沢さんの脚本ならではの普通の作品とは「正反対の」魅力とその衝撃を口にする。

「役者って基本的に“説明台詞”は避けたいものですよね。言葉で長々と説明したくないし、それをやると面白くなくなることもあると思うけど、『鈴木先生』はほぼ全て説明なんですよ。それを逆手にとって、説明することをすごく面白いことに仕上げてる。普通なら表情や間で感じ取ってもらいたくなるけど、それとは正反対。極端な言い方ですが、古沢さんの書いた言葉ならどんな表情で言っても成立してしまうような気さえします。普通にみんながやりたいことと逆のことなのに、それがメチャクチャ面白いってすごいですよね! これまでに出会ったことがない本ですね」。

ドラマ終了から映画の撮影まで約8か月の時間が空いたが、長谷川さんはこの間に別作品の現場で積んだ経験を役柄に乗せて、鈴木先生の成長を表現することを意識したという。

「僕も生徒役の子たちにしても、一度ドラマが終わって違うモードで動き始めたわけですよね。ほかの現場もあって、それからもう一度集結したわけですけど、また『鈴木先生』に参加するにあたって、よそでの経験を忘れるのではなく、ひっくるめて自分の“実”として入っていけば、必然的に変わっていくと思ったんです。ドラマの役を思い出して戻るのではなく、すべてを経験値として駆使してそれが新たな力になればと思ってやりました。その成長は映画のテーマでもあると思います」。

臼田さんは今回の劇場版で改めて麻美の鈴木先生への愛を実感した。それが撮影前に抱いていた不安をかき消したという。

「撮影日数は少なかったんですが、現場に入ると『あぁ、麻美さんは鈴木先生が本当に大好きなんだな』と感じて、その絶対的なゆるぎない愛があれば何も問題ないなと思ったので、もうそれだけでした。『先生を支えたい、守りたい』というだけで(麻美が)妊娠していたことも特に大きな変化でも問題でもなく。麻美さんは鈴木先生のどんなところが好きなのか? 麻美さんの持つ不思議な能力で鈴木先生はすべてを彼女に見透かされているけど、それなのにバカみたいに正直なんですよね。そういうところはいいなと…臼田あさ美としても素敵だなと思います(笑)」。

『映画 鈴木先生』は、1月12日(土)より角川シネマ新宿、丸の内TOEI、渋谷TOEIほか全国にて公開。
《photo / text:Naoki Kurozu》

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