染谷将太インタビュー 「自分たちの世代がどうなるのか? という思いは正直ある」

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『インターミッション』-(c) 「インターミッション」フィルムパーナーズ
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飄々とした口調で「役者という仕事を半端な気持ちでやってはいない」と語る。脱力とバイタリティ、諦観と希望…染谷将太の発する言葉や佇まいは常に一見、相反する要素を抱えている。3月いっぱいで閉館が決まった名画座「銀座シネパトス」の最後を飾る映画『インターミッション』では閉館を控える映画館の女支配人の年下のダンナで画家のショウタを演じている。自らも名画座に通うのが大好きという染谷さん。昨年と今年で20本もの出演作品が公開されるなど間違いなく若手のトップを走る彼が映画、そして映画館への愛情、さらには恋愛観までたっぷりと語ってくれた。

東日本大震災の発生を受けて、耐震性の観点から惜しまれつつも閉館が決まった銀座で唯一の名画座「シネパトス」。映画はまさにこの劇場を舞台に、秋吉久美子扮する支配人に染谷さん演じる夫や映画館スタッフ、そしてここに集う観客たちの悲喜こもごもを描き出す。

クリエイティブ・ディレクターであり、映画評論家としても活躍する樋口尚文監督と染谷さんは以前からの知り合いで、食事を共にした際に本作へのオファーを受けたという。

「シネパトスがなくなるということをそこで初めて聞いたんです。またひとつミニシアターが…と思っていたら樋口さんが『(シネパトスを舞台に)映画を撮りたいんです』と仰って。もちろん出たいと思ったし、なくなってしまうシネパトスで撮影された映画としてずっと残るのだから、そのスクリーンの中に立っていたいって思いました」。

脚本に目を通して「なくなる劇場で撮った最後の映画らしくない破壊力を感じた。しんみりと『寂しいね』という感じではなく『だったらぶっ壊せ!』という激しさがあって面白かった」と明かす。樋口監督は染谷さんについて“遊戯性”という何とも魅力的な言葉で「70年代のジュリー(沢田研二)やショーケン(萩原健一)に通じるものがある」と評価する。

「現場で樋口さんからはひたすら『自由にかまして』『遊んで』『秋吉さんを黙らせてください』と言われていましたので、その通りに(笑)。どの現場でも自分はだいたいそうなんですが、あれこれ考えても仕方ないので、現場にあるものや地形を使ったり、相手に絡んだり蹴っ飛ばしたり勝手気ままにやりました。『こんなんで大丈夫なのか?』と思いつつ」。

ちなみに秋吉さんには実際に26歳年下のダンナさんがおり、しかもその“本人”である小野寺・グレン・光も映画に出演していて、あろうことか秋吉さん演じるクミコの“昔の男”として染谷さんと同じシーンに登場するのだ。

「そこは何とも言えない変な感じでしたね(笑)。実はあの共演シーンはスケジュールがどうしても合わなくて別撮りなんです。秋吉さんとグレンさんのシーンが先に撮影されていて、その映像を見つつ僕がリアクションするシーンを後日撮ったんです。グレンさんとお会いしたときは海外育ち(ホノルル生まれ)の方なので、気さくに『ハーイ、ショウタ!』って話しかけてくだいましたがどうにも不思議な感じで…(笑)」。

劇中のあるエピソードで故・大島渚監督の妻でもある名女優・小山明子が「過去の出演作品を観ていると、バラバラの作品の断片がひとつの大陸のように繋がっているように見えてきた」という趣旨を口にするシーンがある。長きにわたって活躍してきた女優だからこその言葉であり、染谷さんは「言わんとしていることは分かりますが、やはり生きた時代も経験も違うので…なかなか実感としては」と語る。だが染谷さんの言葉の随所からも、映画や俳優としての自らを単なる“点”としてではなく、歴史・文化という“線”で捉えようという意識がうかがえる。自らの世代について尋ねたときの答えもそう。

「自分たちの世代がどうなっちゃうのか? という思いは正直、あります。名だたる方々が作ってきた映画という文化を継承し、それだけでなく発展させなくちゃいけないと思う。でも本当に自分たちに担えるのか? 不安はあります。ただ時代が常に流れていくというのは仕方のないこと。見守りつつ、自分は好きなことをやっていきたいという気持ちです」。

俳優として以前に、ひとりの映画ファンとして通い続ける映画館、特に名画座の魅力について語る言葉にも同様の思いがあふれている。

「やっぱり自分にとって映画館は夢が詰まった場所なんです。ひとりではなく不特定多数の人と同じものを共有できる。しかも観ているものは昔の人たちが観ていたものと同じ。演劇はその時々で違う“生”の芝居を見るものですが、名画座は逆に時代を超えて同じものをいろんな人と共有できる。それはロマンティックな体験だし、映画は永遠に残ると感じさせてくれるんです。フィルムがボロボロになって途切れちゃうことも結構あるんですけど、そういうのも含めて受け継いでいってほしいし途切れないでほしい」。

熱い口調から一転、自らのキャリアの話題になるとまた淡々とした語り口に…。9歳で子役にデビューして以来、途切れることなく毎年のように映画に出演。特に『ヒミズ』で二階堂ふみと共にヴェネツィア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)を受賞して以降、“新人”“若手”などといった枠を超えて類まれなる存在感でいま最も映像作家から求められる俳優になった。こうした変化を否定も肯定もせずにただ、受け止める。

「僕自身が意識的に変化したというのはないけど、周りの見方は変わったと思う。周りが変わればやはり自分も変わらざるを得ないところが出てくるんでしょうし、そういう意味で変わったのかな。ただ僕に言えるのは『本気でやってる』ということだけ。楽しいから本気です」。

冒頭で相反する要素を抱えていると評したが、こうした複数の要素が彼の中でせめぎ合うのではなく、不思議とすっぽりと収まっている。それこそが染谷将太のつかみどころのなさの正体か――。最後にもうひとつ。染谷さん自身、年上の妻やカノジョについてご意見は?

「いいと思いますよ(笑)、年齢は気にしません。波長が合えば。ただ今回、映画を通してこれだけ年の離れた夫婦を疑似体験して思ったのは、年が上でも下でも女性は女性なんだなということ。年齢の違い以前に、自分たち男とは違う、“女性”という特別な存在なんだと実感しましたね」。
《text:Naoki Kurozu》

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